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フェイルオーバー(Fail over)

フェイルオーバーとは、システム冗長化の考え方・技術

フェイルオーバーとは、文字通り「失敗したときに(フェイル)、切り替える(オーバー)」という意味です。これはシステムを冗長化する技術の1つであり、万が一システム(本番機)に障害が発生した場合に、そのエンドユーザ(システムの利用者)に気づかせることなくバックアップシステム(代替機)がその処理やデータを引き継ぐ考え方です。

なお、フェイルオーバーはあくまでも”考え方”であるため、必ずしも対象がサーバであるとは限らず、ファイアウォールやルータ、スイッチのようなネットワーク機器において同じような冗長化手法を用いる場合にも当てはまる言葉です。また、切り替え手段そのものについても、必ずしも”自動切り替え”である場合のみを言うのではなく、”手動切り替え”である場合も含まれます。ただし、一般的に、数秒、かかっても数分内に切り替えが完了するイメージです。

ちなみに、代替機として用意される機材は必ずしも1台である必要はなく、2台目、3台目と増設していくことで二重三重のバックアップ体勢を用意することもあります(この場合を特に「カスケードフェイルオーバー」と呼びます)。

フェイルオーバーは、高可用性を求められる業務に必要な技術

先に解説したとおり、フェイルオーバーによる本番機から代替機への切り替えに要する時間は極めて短いものです。したがって、このような考え方は、企業における基幹ネットワークの玄関口(ゲートウェイ)に設置されるルータやファイアウォールをはじめ、一瞬でも落ちることが許されない勘定系システムなど高い可用性と信頼性が要求されるシステムに対して有効です。

もちろん、企業の事業継続能力を高めるためにも必要不可欠です。ビジネスを一瞬足りとも止めることが許されない多くの企業において、DRサイトへの切り替えにフェイルオーバーの仕組みが利用されることになります。

フェイルオーバーを満たすクラスタリング技術

「同一の機能を持つシステムを2台以上用意して冗長化構成をとる」という点で、クラスタリングはフェイルオーバーの考え方を満たす技術の1つであるということができます。ただし、フェイルオーバーの目的が「失敗時の切り替え」であるのに対し、クラスタリングの目的が「負荷分散」である点で両者に違いがあります。

わかりやすく例を1つ挙げます。

今、ここにビルに入るために2つの扉があるとします。フェイルオーバーの考え方では、この2つの扉のうち1つがメインの扉であり、もう1つがバックアップの扉になります。したがって、何も障害が発生していないときには、お客様はメインの扉から入ってきます。バックアップの扉は閉じられており通常時には使用されません。障害が発生した際にだけ、バックアップの扉が開放され、お客様はその入り口からビルに入ってくることになります。

これに対して、クラスタリングの考え方では、常に2つの扉ともメインになります。お客様は好きな方の扉からビルに入ってくることになります。万が一、1つの扉に障害が発生した場合は、全員、残りの扉から入ってくることになります。

これが両者の違いになります。

(文責:勝俣 良介

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