総務省消防庁は1月20日、消防・防災に関する現状と施策を取りまとめた「令和7年版 消防白書」を公表しました。
同白書は、大規模林野火災への対応やマイナ救急をはじめとした救急体制の充実などを含む7つの特集と、火災予防や災害対策などの本編で構成されています。カムチャツカ半島付近を震源とする地震や豪雨など近年の大規模災害への対応や、消防分野におけるDX・新技術の活用の推進についても特集しています。
火災の現況については、2024年の総出火件数は3万7,141件で、前年と比較して1,531件の減少となりました。一方、救急業務については、2024年の救急車による出動件数は771万8,380件となり、前年より約8万件増加し過去最多を更新しました。これは1日平均で約2万1,088件、約4.1秒に1回の割合で出動している計算になります。搬送人員も676万9,172人と過去最多となりました。119番通報を受けてから現場に到着するまでの「現場到着所要時間」は、平均約9.8分となっており、新型コロナウイルス感染症が流行する前の2019年と比較して約1.1分延伸しています。
白書では、2025年の5月から9月までの熱中症による救急搬送人員が、調査開始以降で最多となる10万510人を記録したことについても取り上げています。こうした救急需要の増大に対し、「マイナ救急」の全国展開についても触れられています。マイナンバーカードを活用して傷病者の医療情報を把握することで、円滑な搬送先の選定や適切な処置につなげる取り組みが進められており、2025年10月1日から全国の消防本部の救急隊(常時運用救急隊の98%)による運用が開始されています。
「大規模林野火災への対応」の特集では、2025年2月に岩手県大船渡市で発生し、1964年以降最大となる約3,370ヘクタールを焼損した林野火災などの教訓と対策が詳述されています。一連の火災では、緊急消防援助隊が陸上と空中の両面から大規模な消火活動を展開しました。これらを踏まえ、総務省消防庁は林野庁と共同で検討会を開催し、予防策として新たに「林野火災注意報」や「林野火災警報」を創設し、気象状況に応じた火の使用制限を強化する方針を打ち出しました。これは、林野火災の主な原因がたき火や火入れなどによる人為的な行為によるためとしています。また、常備消防の体制強化策として、自然水利を活用できるシステムや夜間監視可能なドローン、悪路走破性の高い「林野火災対応ユニット車」の整備に加え、延焼シミュレーション技術の研究開発などを推進することが明記されています。
災害対応力を高めるため、新技術の活用推進も掲げられています。現場到着時間の短縮を目指し、AIを活用して救急需要を予測し救急隊を最適配置する研究や、ドローンが撮影した画像を即時に地図上に反映させるシステムの開発などが紹介されています。
地域防災の中核を担う消防団に関しては、団員数の減少が報告されました。2025年4月1日現在の消防団員数は73万2,223人で、前年に比べ1万4,458人の減少となりました。その一方で、女性消防団員数は2万9,478人となり、前年比で883人増加したというデータも示されています。