有報開示「3カ月以内」もガイドライン改正で柔軟対応へ、金融審議会WG「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方」報告書を公表 金融庁
金融審議会のWGは1月8日、サステナビリティ情報の開示と保証に関する報告書を公表しました。昨年7月の「中間論点整理」で結論が持ち越されていた項目について方針が確定しました。
時価総額5,000億円以上1兆円未満の企業に対する適用時期が「2029年3月期」に正式決定したほか、保証の担い手を監査法人に限定せず「登録制」とすることや、有価証券報告書の提出期限について現行のまま(=3カ月)としつつ、ガイドラインを改正し個別的な対応として延長承認の制度を柔軟に活用できるようにする方針を明記しました。
プライム市場上場企業に対するサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)の適用時期について正式に示されました(表)。時価総額5,000億円未満の企業への適用は引き続き検討事項とされています。
表 プライム市場上場企業に対する開示と保証の適用時期
| 時価総額 | 適用義務化 | 保証義務化 |
|---|---|---|
| 3兆円以上 | 2027年3月期 | 2028年3月期 |
| 1兆円以上3兆円未満 | 2028年3月期 | 2029年3月期 |
| 5,000億円以上1兆円未満 | 2029年3月期 | 2030年3月期 |
開示の信頼性を担保するため、第三者保証制度を導入します。その担い手については、監査法人に限らず国際基準と整合的な能力や品質管理体制を持つ法人であれば保証業務を実施できる「登録制」としました。なお、国際基準とは保証基準(ISSA5000)、品質管理基準(ISQM1)、倫理・独立性基準(IESSA)を指します。
導入当初の負担を考慮し、最初の2年間における保証対象範囲は温室効果ガス排出量のうち自社からの排出(スコープ1)とエネルギー使用に伴う間接排出(スコープ2)に限定され、スコープ3は対象から外れます。また、組織の体制チェックとしては「ガバナンス」と「リスク管理」のプロセスが対象となります。それらが実態と合致しているかチェックを受けます。
なお、保証水準は「限定的保証(Limited Assurance)」となります。限定的保証は「不適正であると信じさせる事項は認められなかった」という、いわゆる消極的な形式で結論を表明する手法であり、第三者保証制度を円滑に導入するため、財務諸表監査のような「合理的保証」への移行は検討しないとされています。
実務上の懸念が強かった有価証券報告書の提出期限については一律の延長案は見送られ、現行の「事業年度経過後3カ月」が維持されます。ただ、制度導入初期の実務的な混乱や遅延に備え、報告書は「個別的な対応として、延長承認の制度を柔軟に活用できるようにする」方針を明記しました。「企業内容等開示ガイドライン」を改正し、SSBJ基準への対応や保証の導入に伴う遅れを「やむを得ない理由」として明確化することで、個別の申請に基づき期限延長を柔軟に認める方向性で検討されました。
なお、企業の負担を考慮しSSBJ基準の適用開始から2年間は「2段階開示」が法令上の経過措置として認められます。これは有価証券報告書を提出した後、「訂正報告書」として追加情報を開示できる手段です。
このほか、虚偽記載に係る民事責任を負わない「セーフハーバー・ルール」が開示企業に適用される場合、保証業務実施者についても同様に民事責任を負わないとする方針などについて示されました。