日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、「ASEAN等の脱炭素対策・有望分野制度に関する調査」を公表しました。
日本が提唱する「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」について、日本企業からの関心が高まっています。これを受けて本レポートは、日本企業がASEAN地域における事業戦略を策定する上での基礎情報となるよう、ASEANを中心とした10カ国を対象に脱炭素対策を調査し、整理しています(ブルネイ▽カンボジア▽インドネシア▽ラオス▽マレーシア▽フィリピン▽シンガポール▽タイ▽ベトナム▽インド)。
具体的には、①排出量可視化②再エネ③省エネ④ガス転換⑤アンモニア・水素⑥CCS(二酸化炭素回収・貯留)・CCUS(二酸化炭素回収・利用・貯留)⑦運輸(EV・SAF)⑧循環型経済(電子廃棄物)⑨インフラ(蓄電設備・スマートインフラ)⑩ファイナンス⑪炭素市場の11テーマに関して、調査対象国の実施状況などがまとまっています。
まず全体の動向として、CO2排出量が多いインドやインドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、フィリピンといった国々ほど、脱炭素に向けた政策を積極的に推進している傾向が示されています。11個の「脱炭素テーマ」のうち、再生可能エネルギーの導入、省エネルギー対策、運輸分野における電気自動車(EV)の普及については、10カ国全てが戦略的な重要テーマとして取り組んでいます。
続いて本レポートは、「脱炭素テーマ」のそれぞれについて、調査対象国の状況を解説しています。
調査対象国での取り組みが最も進んでいないと報告されているテーマはCCS・CCUSです。この分野に焦点を置いた政策枠組みを提供しているのはマレーシアとインドネシアのみでした。シンガポールやベトナム、タイでは、他分野の政策などにおいてCCS・CCUSの活用に言及しているものの、明確に推進する政策は見られないとしています。
排出量の可視化については、調査対象国の全てが、NDC(国が決定する貢献)を念頭に排出量の報告を行っているとしています。特にシンガポールやマレーシア、ブルネイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、インドでは、特定の企業に対する排出量の報告義務の導入も進んでいると記されています。
再生可能エネルギーに関しては、太陽光発電の普及が進む中で、カンボジアやラオスでは水力発電、インドネシアとフィリピンでは地熱発電など、自国の保有する再エネ資源を活用する方針も検討されていると記しています。
電子廃棄物の管理規制の導入はシンガポールやベトナム、インドネシア、カンボジア、インドで一定程度進んでいるとしています。そのほかの国では活動事例は見られるものの、管理規制の導入については検討が進んでいないと指摘されています。
本レポートは、国別の詳細な動向についても解説されています。