環境省は2月16日、「第3次気候変動影響評価報告書」を公表しました。気候変動適応法に基づき概ね5年ごとに作成される報告書であり、現状から将来にわたって優先的に対応が必要な項目を明らかにしています。この報告書を踏まえて、来年度の気候変動適応計画の見直しに向けて議論が始まります。
前回報告書から5年が経過し、気候変動の影響は将来の予測ではなく、すでに顕在化していると明記されました。科学的知見が充実し、前回は引用文献数が1,261でしたが今回は2,186とおよそ1.7倍に増加、前回評価時よりも「確信度」が向上しました。
報告書は気候変動の影響を「重大性」(被害の大きさ)、「緊急性」(対策のタイムリミット)、「確信度」(データの確かさ)という3つの評価指標で、農業や災害、健康などの7分野、計80項目ごとにそれぞれ評価しています。なお、前回報告書では7分野71項目でしたが、「産業・経済活動」や「国民生活・都市生活」分野において生活者や事業者の視点に合わせて再整理・細分化され全80項目となりました。
3つの評価指標(重大性・緊急性・確信度)はレベル1~3の3段階評価となりました。また、前回は「2度上昇」、「4度上昇」といった将来シナリオを想定していましたが、今回は「現状(約1度上昇)」と「1.5~2度上昇時」、「3~4度上昇時」の3つのケースに分けて評価しています。
まず、評価指標「重大性」においては、全80項目のうち52項目(65%)において「現状」段階ですでに「レベル2」(重大な影響が認められる)以上と判定されました。さらに、その約半数(23項目)は「レベル3」(特に重大な影響が認められる)と評価されました。
次に「緊急性」については全80項目のうち54項目(68%)が「レベル3」(緊急性は特に高い)と評価されました。適応策が効果を発揮するまでには時間を要することから、早い意思決定を求めました。
「確信度」において「レベル3」(確信度は特に高い)と評価した項目は、重大性について39項目(49%)、緊急性について34項目(43%)となりました。確信度の評価区分が異なり、単純比較はできないものの、前回よりも「確信度が高い」と評価された項目の割合が高くなりました。
現状において3つの指標すべてで「レベル3」となった項目も複数あります。農業や自然災害、健康といった分野です。
具体的には、夏の猛暑によって白く濁ったお米が増加するといった水稲(コメ)の品質低下▽極端な大雨の頻発などによる洪水や内水氾濫の発生▽熱中症による救急搬送者数や死亡者数の増加▽台風や大雨などによるライフライン(電気・ガス・水道・通信)の寸断--といったことが挙げられています。