厚生労働省は2月25日、労働者数50人未満の事業場におけるストレスチェック導入に向けた実施方法や手順をまとめた「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しました。単独型の小規模事業場だけでなく、商工会や協同組合など業界団体所属型の企業や、労働者数50人以上の企業の分散型事業場(営業所・工場・チェーン店など)においても、本マニュアルを参照することが望ましいとしています。
同マニュアル策定の背景には、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法があります。これまで50人未満の事業場では、ストレスチェックの実施が努力義務とされていました。しかし、精神障害の労災支給決定件数が増加傾向にあり、小規模事業場でも多数発生している実態を踏まえ、事業場規模にかかわらず実施が義務化されました(※施行期日は公布後3年以内に政令で定める日)。
マニュアルでは、制度実施に向けた具体的な手順がまとめられています。制度の主たる目的は精神疾患の発見ではなく、「メンタルヘルス不調の未然防止」です。導入に向けて事業者は方針を従業員へ表明し、関係労働者の意見を聴取した上で、実施体制や情報管理に関する社内ルールを作成・周知することが求められます。
社内ルール作成後は、実施体制と実施方針を決定します。小規模事業においては、プライバシー保護の観点からストレスチェックの実施を外部機関へ委託することが推奨されています。外部に委託する場合は、委託先の実施者や社内の実務担当者をはじめ、無料で利用できる「地域産業保健センター」などの面接指導の依頼先をあらかじめ決定しておきます。
ストレスチェック実施後、高ストレス者からの申し出があった場合、事業者は医師による面接指導の機会を提供しなければなりません。その後、医師から意見を聴取し、必要に応じて労働時間の短縮や作業転換などの就業上の措置を講じます。さらに、個人のストレスチェックの結果を集団ごとに分析し、その結果に基づく職場の環境改善に取り組むよう努める必要があると明記しています。
制度実施の際、特に留意すべき事項として挙げているのが、労働者に対する「不利益な取り扱いの禁止」です。個人のチェック結果は、本人の同意がない限り会社側に開示されることはなく、ストレスチェックの未受検や面接指導の結果などを理由とした解雇や退職勧奨、配置転換などは法令により禁止されているため、行わないよう強く求めています。
厚生労働省は、事業者がメンタルヘルス対策を「経営課題」として位置づけ、職場のメンタルヘルス対策に取り組むことにより、生産性の向上や人材の確保・定着、企業価値の向上につながるとしています。