国土交通省と東京都は3月4日、首都「東京」における防災まちづくりの方向性を示した「災害に強い首都『東京』形成ビジョン 改定案」を公表しました。今回公表された改定案は、近年の社会情勢や能登半島地震の教訓などを踏まえたもので、2020年に策定された「災害に強い首都『東京』形成ビジョン」をベースに、これまでの取り組みを一層強化・推進する内容としてまとめたものです。
改定案では、首都「東京」が抱える災害リスクとして、気候変動による風水害の激甚化・頻発化や、首都直下地震の切迫性が指摘されています。また、能登半島地震の約8カ月後に豪雨による複合災害が発生したことを教訓に、「複合災害対策」が新たに追加されました。
複合災害とは、地震後の復旧過程で大雨が降るなど、先発の自然災害の影響が残る中で、後発の災害が発生する事態を指します。単発の災害に比べて小さな外力でも甚大な被害が発生するリスクがあり、東京都では「首都直下地震」と「大規模水害」が連続して起きた場合を想定し、対策を強化する方針です。
こうした複合災害の被災リスクを低減するため、先発災害発生後における被災状況の早期把握を目的としたデジタル技術の活用などが取り組み方策として掲げられました。
具体的には、災害情報を共有する新総合防災情報システム(SOBO-WEB)の構築や、人工衛星、レーザー、ドローンなどを活用することで、広域の被災状況や地形・施設の変状、地盤のゆるみなどを早期に把握し、人的被害や家屋の被害につながる可能性を評価する「安全度評価」の手法を確立するとしています。また、労働人口の減少が課題となる建設業では、デジタル人材を育成し、デジタル化・オートメーション化を進めることで、復旧・復興作業の省力化と迅速化を図る方針を明記しました。
さらに、復旧・復興中の複合災害の発生を考慮した柔軟な避難対策として、被災状況を踏まえた適切な避難先やルート情報を随時発信する支援体制の強化が盛り込まれました。併せて、発災後の円滑な復興を見据え、平時から備えを進める「事前復興」の取り組みについても新たに追加されています。行政職員を対象とした都市復興訓練のブラッシュアップや、各区市町村における震災復興マニュアルの策定・改定、独自訓練の取り組み支援のほか、衛星データを活用した被災状況把握の迅速化・省力化などを通じて、複合災害にも対応した強靭な都市の構築を目指すとしています。
国土交通省と東京都は、本改定案への意見(パブリックコメント)を募集しており、受け付けは4月3日までとなっています。