日本貿易振興機構(ジェトロ)は3月25日、「『サプライチェーンと人権』に関する法制化動向(全世界編 第3版)」を公表しました。2025年7月に公表された第2版をもとに、その後の法制化の進展や最新動向を反映しました。今回の改訂では、EUにおけるサステナビリティ関連法令の大幅な簡素化が確定事項として盛り込まれたほか、新たにアジア圏の動向が追加されました。
第3版で取り上げている国・地域は、欧米やオーストラリアなどに加え新たに「ASEAN・韓国」と、参考情報との位置づけで「日本」が追加されました。これまで欧米中心だった人権デューディリジェンス義務化の動きがアジアへも波及しており、韓国における法案提出や、タイ、インドネシアなどでの国家行動計画(NAP:National Action Plan on Business and Human Rights)策定の動きが概説されています。日本についても、改定されたNAPや各種ガイドラインの整備状況が紹介されています。
EUでは、企業サステナビリティ法規制(企業サステナビリティDD指令および企業サステナビリティ報告指令)において企業の規制対応負担を軽減するための「簡素化指令」が2026年3月に施行され、その内容を詳しく解説しています。簡素化指令により、企業サステナビリティDD指令(CSDDD)の対象企業は約7割、企業サステナビリティ報告指令(CSRD)は約8割削減される見通しと記されています。また、CSDDDの適用開始時期はさらに1年延期され、2029年7月から適用されることが決定しました。
各国の最新動向についてもアップデートされています。ドイツでは、2025年9月に連邦内閣がサプライチェーン・DD法(LkSG)の報告義務を廃止する改正法案を承認し、行政当局(連邦経済・輸出管理局:BAFA)が報告書の審査を即時停止したという実務上の変化が記されています。米国ではウイグル強制労働防止法(UFLPA)に基づく執行が加速し、2025年12月までに約39億ドル相当の輸入貨物が検査対象となった実態が紹介されています。
なお、ジェトロでは欧州の人権関連法令について、参考和訳や実務的な解説資料を作成しています。これらの資料はウェブサイト上の「特集 サプライチェーンと人権」で随時公開されており、活用するよう呼びかけています。