首都直下地震などの大規模災害を見据え、東京都は多様化する避難形態に対応するための新たなガイドライン「東京都避難者生活支援指針」を策定しました。2月9日から3月10日にかけて実施された意見公募の結果を踏まえて内容が確定し、東京都のホームページで公表されています。
この指針は、従来の「避難所避難」に加え、自宅にとどまる「在宅避難」や、被災していない地域への避難である「被災地外避難(広域避難)」を選択した被災者に対しても、適切に行政支援を提供できるよう公助の在り方を整理したものです。指針は全4編で構成され、第1編で基本的な考え方を示したうえで、第2編から第4編にかけてそれぞれの場所に応じた具体的な支援ガイドラインを定めています。
特に、都内で多数派になると予想される「在宅避難者」への支援を拡充するため、避難所以外でも水や食料、情報を得られる「支援拠点」の整備が打ち出されました。支援拠点は、耐震性の高い民間施設やマンション、コンビニエンスストアなどを指定することを検討するとされ、停電や断水に備えた非常用発電機などの資機材を配備することが推奨されました。
発災時に行政体制が逼迫することを前提に、自治会レベルの支援拠点については運営・管理を地域の自助・共助や外部支援団体との連携を原則とすることが明記されました。支援拠点の担い手となる住民の確保・育成に取り組むことの重要性が強調されています。
「被災地外避難」においては、自治体間の協定締結を進めるとともに、アプリなどのデジタル技術を活用して行政情報を提供する仕組みが盛り込まれています。
一方、避難所運営に関しては、国際的な「スフィア基準」に準拠した生活空間の確保が目指されています。このほか指針では、通信途絶に備えた衛星通信「スターリンク」の配備事例や、現場の混乱を防ぐためのペット同行・同伴避難ルールの確立、さらには難病患者などの要配慮者に対する専門職のアウトリーチ型支援の整備など、都民の多様なニーズに応えるための具体的な方策や好事例が数多く紹介されています。
なお、策定に先立ち行われた意見公募では、50件の意見が寄せられました。東京都はそれらを踏まえて、停電に備えた感震ブレーカー設置時の夜間照明の確保や、マンション全体で協力して対応するマンション防災の事例を指針に追記しました。さらに、支援内容の検討にあたって、高齢者や障害者などの要配慮者をはじめとする多様なメンバーを構成員に含めるよう配慮を求める記述の修正も行われました。