金融庁と東京証券取引所(東証)は4月10日、コーポレートガバナンス・コード(CGコード)の改訂案を公表しました。CGコードの改訂は5年ぶりであり、金融庁と東証は改訂案に対するパブリックコメントを5月15日まで受け付けています。東証によると、CGコードの改訂は今年7月をめどに実施される予定です。また、コーポレートガバナンス報告書については、2027年7月末までの提出が求められています。
CGコードは2015年6月の適用開始から10年以上が経過し、これまでに2度改訂されました。今回の改訂では、「形式的な対応からの脱却」やガバナンスの「実質化」が強く打ち出されています。
具体的には、「コンプライ・オア・エクスプレイン」(原則を実施する、もしくは実施しない理由を説明する)の手法の実質化が図られています。改訂によって原則の「プリンシプル化・スリム化」が進められ、具体的な内容や実践方法は新設された「解釈指針」に移管されました。
すべての原則を形式的に遵守するのではなく、各原則の趣旨・精神に照らして自社に最適な対応(コンプライ、もしくはエクスプレイン)を自律的に選択する。こうした企業姿勢を強化する狙いがあります。実施しない場合(エクスプレイン)だけでなく、実施する場合(コンプライ)であっても、ひな型ではない丁寧な説明を行うことが投資家との対話において求められています。
また、今回の改訂は「成長投資の促進」を目的としています。現預金など経営資源が成長投資に有効活用されているかについて、継続的に検証することが盛り込まれました。自社の成長フェーズを踏まえて、設備投資や研究開発、人的資本、知的財産など無形資産への成長投資について、具体的に何を実行するのかを説明することが必要です。
経営陣に対する実効性の高い「監督」を実現するため、取締役会の機能強化が強く求められています。取締役会は株主から負託された受託者として、利益相反が生じる局面や最高経営責任者(CEO)の選任・解任における判断において、独立した客観的な立場から行動することが期待されています。そのため、取締役会の「質の確保」が重要であると示されたほか、取締役会事務局(コーポレート・セクレタリー)の機能強化を推進することも盛り込まれました。
大きな焦点となっていた「有価証券報告書の開示」について、原則に「有価証券報告書を株主総会開催日前に提出する」ことが新たに明記されました。また、新設された「解釈指針」においては「総会開催日の3週間以上前に提出されることが最も望ましい」と規定されました。ただし、現行のスケジュールのままでは実務の集中が生じるため、実現に向けた選択肢として、株主総会開催日や議決権行使に係る基準日を従前の慣行に基づく時期から「後ろ倒しすることも含めて検討する」という内容も併記されました。