気象庁と国土交通省は4月30日、5月29日より運用を開始する「新たな防災気象情報」の発表基準などを公表しました。今回の見直しは、これまで複雑だった情報体系を整理し、避難行動の指標となる「5段階の警戒レベル」と名称・配色(黒・紫・赤・黄・白)を一致させるものです。さらに、「どのような状況下で情報を発表するか」という基準そのものも実態に合わせて高度化されます。
新たな防災気象情報は、「河川氾濫」「大雨」「土砂災害」「高潮」の4カテゴリーに整理されました(表)。情報名称の頭には常に警戒レベルの数字が明記され、レベル5相当は「特別警報」、レベル4相当は新設された「危険警報」、レベル3相当は「警報」に統一されました。
「レベル5氾濫特別警報」や「レベル4高潮危険警報」のように名称が従来と異なるだけでなく、発表する際の基準(条件)も変更されます。
例えば、情報体系の整理によって、大河川以外の河川氾濫や低地の浸水を一括して扱う「大雨」カテゴリーでは、新設の「レベル4大雨危険警報」において、浸水想定区域外など避難が不要な場所をあらかじめ対象から除外し、避難が必要となる可能性があるエリアや河川に絞り込んで基準値が設定されます。また、「レベル5大雨特別警報」の指標は、従来の「数十年に一度の降雨量」という表現から、「浸水害の起こるおそれが著しく大きい降雨量に相当する大雨」へと見直されました。
「土砂災害」に関する情報では、土壌雨量指数と60分雨量を組み合わせた基準値に統一されました。「レベル3土砂災害警報」は、より危険なレベル4の基準値に到達すると予想される「3時間前(最大で4~6時間前)」に発表する方式へ変わりました。従来は警戒レベル3相当の基準値に基づいて発表しており、発表したもののその後、警戒レベル4相当まで危険度が高まらず、結果的に空振りとなってしまうケースが多いという課題がありました。警戒レベル4に至るまでのリードタイムを3時間確保して発表する方式に変更することで、従来よりも空振りの減少が期待され、気象庁によるとレベル3の発表回数は旧方式と比べて約3割程度にまで減少する見込みです。
「高潮」においても、発表基準は大きく変わります。「レベル5高潮特別警報」は、従来の「数十年に一度の強度の台風(中心気圧930hPa以下など)」という台風の規模による指標を見直し、「高潮による浸水がすでに発生している、または切迫している状況」での発表へと改められました。また「レベル4高潮危険警報」についても、過去の浸水事例や海岸堤防の最新整備状況などを踏まえ、全国的に潮位基準値が見直されました。さらに、国交大臣が新たに指定する「高潮予報海岸」においては、気象庁・国交省・都道府県の三者共同により、従来の潮位に加え、波の打上げ高も考慮した高精度の水位基準が導入されます。
なお、「河川氾濫」に関する情報の発表基準は、現在の指定河川洪水予報と大きく変わりません。
表 新たな防災気象情報の名称