経済産業省はこのほど、「ダイバーシティ経営推進に向けて企業に求められる具体的アクション実践事例集(ダイバーシティレポート別添2)」を公表しました。
この事例集は、2025年4月に公表された「企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営」(以下、ダイバーシティレポート)の実践編として位置づけられるもので、ダイバーシティレポートで示された7つのアクションとその具体策である「打ち手」を実践している企業の事例がまとめられています。
同省は、多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することでイノベーションを生み出し、価値創造につなげる「ダイバーシティ経営」の取り組みを推進してきました。その背景には、グローバルな競争に直面している日本企業の現状があります。具体的には、海外への直接投資の増加による組織と経営の複雑性の高まりや、労働市場における供給構造の変化など、経営環境の変化が挙げられます。
このような変化に対応するには、柔軟な対応力に乏しい同質性の高い組織構造から脱却することが重要であると提言しています。その上で、経営戦略の実現に必要となる多様な知識や経験を持つ人材が活躍できる環境の整備と、組織文化の醸成を行うことで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげていくことができると述べています。
ダイバーシティレポートでは、ダイバーシティ経営の核となる要素をDiversity(D)、Equity(E)、Inclusion(I)と定義し、企業がこのDEIについて自社にとっての意義や定義を考えながら取り組むことを求めています。しかし、企業においては多様な人材の活躍を推進するための制度構築や環境整備は進めているものの、企業価値向上に結び付けることが難しいという課題がありました。この課題に対し同レポートでは、アクション0からアクション6までの7段階と、アクションごとにその具体的な施策を示した24の「打ち手」を提示しました。今回公表された事例集は、この打ち手を実践している企業11社の事例をまとめたものです。
例えば、7つのアクションのうち、「⓪アクション推進の基盤整備」の打ち手の1つに「人権尊重の取り組み」があります。その事例として紹介されているみずほフィナンシャルグループでは、ハラスメントや職場での差別に対応するため人権課題を洗い出し、人権方針の策定を行いました。人権方針は従業員に周知・浸透させ、人権デューディリジェンスや人権対応に反映させる仕組みを整えました。
経済産業省は、この事例集を単なるベストプラクティスの収集としてではなく、「経営課題を解決するためには、なぜこのアクションが必要なのか」「どのような取り組みを組み合わせることで、自社なりの効果的な実践ができるか」を想像しながら活用することを推奨しています。