今年10月1日から適用されるカスタマーハラスメント(カスハラ)対策の義務化に向け厚生労働省はこのほど、「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(カスハラ防止指針)などを補足説明するQ&A文書を公表しました。企業が法律上の義務を果たすための判断基準となります。
カスハラ対策において、事業主はカスハラ防止指針に従う必要があります。カスハラは(1)顧客等の言動であって(2)社会通念上許容される範囲を超えたものにより(3)労働者の就業環境が害されるもの――という3つの要素で定義されています。指針は企業に対し、方針の明確化や相談体制の整備、事後の迅速な対応といった雇用管理上の措置を講じることを明記しています。
公表されたQ&A文書は、指針だけでは判断に迷う現場の個別ケースを取り上げています。例えば、「まだ商品を購入しておらず契約関係が発生していない者」や、「今後顧客になることが想定されない施設の近隣住民」であっても、要件を満たせば指針が定めるカスハラの対象に該当すると記しています。
また、指針ではカスハラに該当し得る精神的な攻撃の例として「盗撮や無断での撮影」を挙げています。これに対しQ&Aは、店舗などにおける無断撮影のすべてが直ちにカスハラになるわけではなく、「労働者に撮影をやめるように言われたにもかかわらず、顧客等が労働者を撮影し続ける等の行為」を意味すると、具体的な線引きを示しました。
指針は事業主に対し、事案の事実関係を迅速かつ正確に確認するよう定めています。Q&Aでは、都道府県労働局などの第三者が個々の言動についてカスハラに当たるかどうかの判断を行うわけではないと明記。事業主自身が指針の内容を踏まえて事実関係を確認し、必要な措置を講じなければならないと明示しました。
なお、10月1日から義務化されるのはカスハラ対策だけではありません。求職者などに対するセクシュアルハラスメント対策も義務化されます。今回公表されたQ&A文書は、カスハラ対策だけでなく、「求職者等セクハラ防止指針」(※1)や「セクハラ防止指針」(※2)、さらには「パワハラ防止指針」(※3)など、企業が講ずべきハラスメント対策全般の解釈を網羅的に解説する内容となっています。
※1 「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」のこと。
※2 「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」のこと。
※3 「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」のこと。