経済産業省と東京証券取引所は5月18日、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)を推進し、企業価値の持続的な向上に取り組む先進企業を「SX銘柄2026」として選定し公表しました。SX銘柄は2024年に創設された制度であり、選定は今回で3回目です。今年は15社(※)が選ばれ、味の素株式会社と第一三共株式会社は、制度創設から3年連続での選定となりました。
SX銘柄は、企業の持続的な価値創造(=企業のサステナビリティ)を事業のリスクおよび機会(=社会のサステナビリティ)に同期させ、自社の価値を向上させている企業群を選定する制度です。対象企業は東京証券取引所の全上場会社約3,900社で、今回はプライム市場の68社とスタンダード市場の2社、計70社から応募がありました。
審査は企業が自ら提出する「SX調査票」に基づき、「価値協創ガイダンス2.0」のフレームワークを用いて行われます。具体的には、価値観・長期戦略▽実行戦略▽KPI・ガバナンス▽実質的な対話・エンゲージメント――という4つの観点から、企業が独自の「価値創造ストーリー」を構築し、実践できているかが問われます。
なお、実践できているとされる企業群は、中長期的に株主資本コストを上回るリターンを創出できると考えられることから、選定の必須要件として「PBR(株価純資産倍率)1倍以上」であることが明確に定められています。日本企業は欧米に比べPBR1倍割れの割合が高い水準にあるという課題があり、本制度は資本効率性を意識した経営を促す狙いがあります。
制度創設から3年連続で選定された味の素と第一三共は、自社独自の強みと社会課題解決を深く結びつけた戦略の精緻さと一貫性が高く評価され続けています。
味の素では、事業セグメントごとの資本コストをWACC(加重平均資本コスト)を用いて定量的に開示している点や、開発の初期段階から知財部門が参画する「高速開発システム」によってイノベーションを迅速に進めている点が高く評価されています。他方、第一三共株式会社では、成長ドライバーであるADC(抗体薬物複合体)技術の最大化を柱として、人材、DX、そして5年間で研究開発に1.85兆円という具体的な投資計画を整理しており、戦略と資源配分が強く連動していることが評価されています。
SX銘柄2026として選定された各社の評価ポイントや好事例は、同日公開された「SX銘柄2026レポート」で解説されています。
また、SX銘柄とはならなかったものの、特に注目されるべき優れた取り組みを実施している企業を「SX注目企業2026」として2社(キオクシアホールディングス株式会社と三井倉庫ホールディングス株式会社)が選出されました。
※選定された15社のうち、今回初めて選定されたのは、エーザイ株式会社、SWCC株式会社、東京海上ホールディングス株式会社、東京ガス株式会社、株式会社村田製作所、株式会社りそなホールディングスの6社。昨年に引き続き2年連続で選定されたのは、株式会社アシックス、ソフトバンク株式会社、TDK株式会社、株式会社ニチレイ、株式会社レゾナック・ホールディングスの5社。2024年に選定され今回返り咲いたのは、東京応化工業株式会社と株式会社日立製作所の2社。