首都直下地震の被害想定について東京都は5月29日、東京都防災会議が2022年にとりまとめた内容を見直し、一部の項目については先行して2027年3月をめどにとりまとめると発表しました。
首都直下地震による首都圏の被害想定については国が昨年12月に新たな想定を公表したばかり(中央防災会議防災対策実行会議に設置された首都直下地震対策検討WGが作成)。しかし東京都は当時からその内容が一部、実態に即していないと指摘していました。東京都は国の被害想定の分析や都が実施してきた防災施策を評価・検証し、5月29日に改めて都の見解(※)を公表しました。
それによると、国の想定では電力需要を「真夏のピーク時」としていますが、大規模地震発生時には工場の停止や施設の休業などで需要自体が減少すると改めて指摘。社会経済活動が一時的に低下して電力需要が低くなる実例として昨年8月のお盆期間のデータを挙げ、ピーク時と比べ電力需要が約36%減少する実態を示し、国が想定した災害時の需要水準を疑問視しました。
また、電力供給が被災1カ月後まで復旧しないとする国の想定に対しても、復旧期間の目安が約10年前と同じであり、事業者が進めてきた被害軽減対策が考慮されていないと重ねて指摘。停止した火力発電所の段階的な復旧も反映されていないとしました。
被害想定は、自治体や事業者などが防災対策を立案する上で重要な基礎資料です。東京都はより実態に即した内容が求められるとして東京都防災会議に地震部会、さらにその下に作業部会を設置し、都独自の新たな被害想定を策定することにしました。
地震部会では第一次見直しとして、「ライフライン」「避難者」「帰宅困難者」の3項目に絞り、2027年3月をめどに新たな被害想定を先行してとりまとめる方針です。さらに第二次見直しとして、2029年をめどに被害想定の全面的な見直しを予定しています。
※「国の首都直下地震における被害想定の分析と首都東京の強靭化に向けた都の見解」のこと。