消費者庁と総務省消防庁、経済産業省、国土交通省、環境省の5省庁は共同で、「リチウムイオン電池総合対策ポータルサイト」を2026年6月18日に公開しました。リチウムイオン電池(LiB)搭載製品の普及に伴い、不適切な使用や廃棄による発火事故が相次いでいます。今般公開されたポータルサイトでは適切な利用および廃棄の方法のほか、購入時の注意点、事業者の責務などが網羅されています。
経済産業省や委託機関は、オンラインモールや自社ECサイトを定期的に巡回する「ネットパトロール事業」を展開しています。表示の不備や試買テストによる技術基準の不適合が発覚した場合、出品者・事業者に電話やメールで事実確認を行い、違反があれば出品削除要請も行います。この事実確認への対応が一定期間滞った事業者については、経済産業省が「連絡不通事業者リスト」に社名を公表します。電気用品安全法など製品安全4法に関係する事業者のうち、行政から3回以上連絡を試みても応答がなく、3回目の連絡から14日以上経過しても返答がない場合が公表の要件となっています。ポータルサイトではこのリストへのリンクが貼られ「掲載されている事業者は万が一事故が起きた際に連絡がつかない可能性があるので確認しましょう」と注意喚起しています。
モバイルバッテリーの電気用品安全法(PSE)規制においては、2022年12月に義務化された電圧監視要件の経過措置期間(2年間)が2024年12月28日に満了しており、対応は完全な義務となっています。
また、NITE(製品評価技術基盤機構)では専門チームによる深掘り調査体制が確立されました。万が一事故が発生した際には、X線CT検査によるセル構造の詳細観察や、SEM-EDXなどを用いた電極材料や絶縁体の劣化・異物混入の材料分析など、高度な科学的アプローチで原因究明が行われます。メーカーには製造工程や自主検査記録の提供が求められるため、厳密な品質管理が必要です。
製品が寿命を迎えた後のルールも見直されました。資源有効利用促進法により、モバイルバッテリー、スマートフォン、加熱式たばこデバイスの3品目が新たに「指定再資源化製品」に追加され、一定規模以上の製造・輸入販売事業者に自主回収とリサイクルが義務付けられました。産業廃棄物として排出する際も、WDS(廃棄物データシート)やマニフェストにおいて「リチウムイオン電池の含有の有無」を明確に伝達することが義務化されています。
一方、廃棄物処理施設へのAIやX線を活用した高度選別機の導入、延焼防止機能と連動した検知連携システムの導入には支援策が用意されています。リサイクル工程で生じるブラックマス(電池粉)から、リチウムやコバルトなどの重要鉱物を回収・精製する実証事業も国が後押ししています。
なお、国土交通省は2026年4月24日からモバイルバッテリーの機内持ち込みを160Wh以下で1人2個までに制限し、機内でのモバイルバッテリーへの充電とモバイルバッテリーからスマートフォンなどへの充電を禁止する新ルールを施行しました。機内設備のコンセントやUSBポートからスマートフォンを直接充電することは引き続き可能ですが、モバイルバッテリーを経由した充電は認められません。