頑健なサプライチェーンの構築が喫緊の課題と分析、令和8年版「通商白書」と「通商戦略2026」を公開 経産省
経済産業省は2026年6月30日、令和8年版の「通商白書」および「通商戦略2026」を公開しました。世界経済の不確実性の高まりやサプライチェーンリスクの増大などを分析した白書を踏まえ、通商戦略2026では、経済安全保障や新興国との連携強化など、日本が今後進めるべき通商政策の方向性を示しています。
世界経済においては、米国の関税引き上げや中国による重要鉱物の輸出管理措置など、経済政策の不確実性が2000年以降で最高水準に達しており、経済的な依存関係を悪用した「経済的威圧」への懸念も高まっています。
白書では、サプライチェーンリスクが国家経済を左右する時代において、特定の国への過度な依存によるリスクが顕在化していると指摘しています。例えば、ASEAN諸国が中間財の輸入において中国への依存を高めていることや、日本を含むアジア各国がナフサなどの石油製品の輸入において中東への依存度が極めて高いことを、データを示しながら紹介しています。このため、資源国や有志国と連携し、重要物資の調達や供給において多角化によるリスク分散を図ることが重要だと訴えています。
こうした厳しい国際環境を背景に具体的な打ち手を示したのが通商戦略2026です。分断が進む時代においても日本が「信頼できる経済パートナーで在り続ける」ことを目標に掲げました。その上で①米中への対応などを行いつつ自由貿易と法の支配(ルールベース)の取り組みを進める「ハイブリッドな通商戦略」を推進する②大国を含め真に自由で互恵的な「信頼できる経済圏」を構築する③グローバルサウス諸国との連携を強化し、共創を通じて新たな海外市場を開拓する、という方向性を示しています。
具体策として、AZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)やPOWERR Asia(パワー・アジア:アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ)の枠組みを活用し、産油国と消費国が協力してエネルギー需給の強靭化を図る取り組みを主導する方針を示しています。
また、日本の勝機は新興国の課題解決にあるとし、技術力を背景にしたエネルギー分野を含むサプライチェーンの強靭化やAIを含む新産業や技術、人材育成で貢献していくことが有効になるとの見方を示しています。