厚生労働省の日本成長戦略会議 労働市場改革分科会はこのほど、労働市場改革の方向性に関する「とりまとめ」を公表しました。今後、2040年に向けて生産年齢人口が急速に減少し労働力不足が深刻化すると見込まれる日本において、持続的な経済成長を実現するためには、労働供給力の強化が不可欠であるとしています。
同とりまとめは、日本経済が直面する現状の課題分析と、それを踏まえた労働供給力強化に向けた4つの取り組みを掲げています。現状は生産年齢人口が減少する中でも、マンアワーベースでの労働供給量(1人あたり労働時間×就業者数)は、女性や高齢者の労働参加により維持されていると分析しています。
加えて、現在就業意欲はあるものの求職活動を行っていない無業者や育児・介護などの制約を理由に非正規雇用を選択している労働者が約700万人存在すると考えられています。こうした人々の労働参加を促進することで2040年においても2022年の総労働時間をほぼ維持できるとする推計があることを示しました。
このような分析を踏まえ、日本に必要なのは女性や高齢者など多様な人材の労働参加の促進と、17の戦略分野への人的資本投資の促進や労働移動などの取り組みであると訴えています。また、今後懸念されている社会インフラの提供体制を確保するためには、担い手となる中小企業の活力の維持・強化や人材不足の解消が不可欠であり、AIの活用も含めた業務の省力化や効率化、処遇の改善などが求められるとしました。
労働供給力強化に向けた第1の取り組みである「処遇向上に向けたリ・スキリング支援や労働生産性の向上」では、労働需要の高まりが想定される17の戦略分野などにおいて、戦略的なリ・スキリングを推進することを挙げました。各省庁が大学などと連携し、求められるスキルの標準化・可視化から教育訓練プログラムの開発・提供までを一気通貫で支援する必要性を強調しています。
続いて、第2の取り組み「労働者の希望に応じた円滑な労働移動の促進」については、労働者の希望に応じた成長分野や社会インフラ分野への労働移動を実現するため、マッチング機能の強化を提言しています。具体的には、労働情報提供プラットフォーム「みんなの労働ナビ」へのAI機能の装備や、ハローワークにおける「課題解決支援チーム」の拡充などを挙げています。
さらに、第3の取り組み「多様な人材の労働参加の促進」では、長時間労働に依存した働き方では持続的な成長は見込めないと指摘しています。今後は引き続きワーク・ライフ・バランス確保の観点から長時間労働を是正し、女性や高齢者、障がい者、さらに創造的な能力を発揮したいと考える人々など、誰もが働きやすい労働環境を整備することが重要であるとしています。
そして、第4の取り組み「中小企業をはじめとした、企業の人材マネジメントへの支援」では、人材マネジメント強化のために、中小企業支援ネットワークの新たな構築や個別支援策の充実を進めていく必要があると述べています。