政府は2026年7月3日、「国土強靱化年次計画2026」を決定し公表しました。防災・減災、国土強靱化の施策をさらに加速化・深化させる方針のもと、危機管理投資として「第1次国土強靱化実施中期計画」を推進するとともに、災害対策の司令塔機能を担う「防災庁」を2026年中に設置することを改めて明記しました。
本文書では、2021年度から2025年まで実施された「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の評価に加え、新たに2026年度から2030年度まで実施される施策「第1次国土強靱化実施中期計画」や今後の方針などを取りまとめています。
「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の達成状況は、161施策のうち、100施策が「達成済み(見込み)」、17施策が「おおむね達成(※1)」となった一方、44施策が「達成困難(※2)」という結果となりました。達成困難に陥った要因としては、近年の資機材費・人件費の高騰による事業費の増加や施工業者確保の遅延、新型コロナウイルス感染症の影響などが挙げられました。これらの課題を踏まえ、目標や施策内容を見直した上で「第1次国土強靱化実施中期計画」などへ引き継ぐとしています。
これらの施策による具体的な成果として、防災・減災効果が見られた取り組み事例も記されています。気候変動に伴う豪雨や大規模地震などの災害に対し、建物の耐震化や密集市街地での火災延焼防止、津波対策などにより人命・財産の被害を防止・低減する効果が発揮されているとしました。また、流域治水プロジェクトの進展により、全国各地で浸水・土砂崩れなどの被害が回避・軽減されたほか、警察・消防の車両・装備資機材の充実や医療機関への自家発電設備導入などにより、災害対応能力が向上しました。さらに、避難所として利用される学校の耐震化と空調設備の導入により、災害関連死を防ぐ環境改善が進捗したと報告されています。
今後の対応として明記されたのが、政府が設置した「日本成長戦略会議」において検討中の成長戦略の一つに「防災・国土強靱化」分野が位置づけられた点です。災害大国の日本が蓄積してきた知見やノウハウ、デジタル等新技術を活用した防災技術について、技術開発から商品化、サービスの提供、さらには海外展開までを見据えた好循環の創出を目指す方針が明らかにされました。
これらの成長戦略や過去の課題も踏まえ、2026年度から5年間でおおむね20兆円強程度を事業規模の目途とする「第1次国土強靱化実施中期計画」を集中的に推進していくことを掲げています。このうち2026年度分として約4.1兆円(うち国費約1.9兆円)が確保されています。
※1 KPI達成率が95%以上である、計画期間後短期間で目標が達成される見込みがある等の施策
※2 達成困難(KPI達成率50%以上=22施策)・達成困難(KPI達成率50%未満=22施策)