金融庁と東京証券取引所は2026年7月21日、改訂したコーポレートガバナンス・コード(以下、CGコード)を公表しました。CGコードの改訂にあたっては、2026年4月10日から5月15日にかけて意見公募が実施され、147件の意見が寄せられました。上場会社は改訂版CGコードの各原則にどのように対応しているかを記載したコーポレートガバナンス報告書を、遅くとも2027年7月末日までに提出する必要があります。
CGコードの改訂は3度目です。今回は「コンプライ・オア・エクスプレイン」の対象となる原則を絞り込み、重複箇所を削除するスリム化とプリンシプル化が行われました。各原則の趣旨・背景や、実践のための具体的な手法(ベストプラクティス)については「解釈指針」へ整理、移管されました。
改訂は「成長投資の促進」「取締役会の機能強化」「有価証券報告書の定時株主総会前開示」の3点が柱となりました。
まず、成長投資の促進については、取締役会の役割・責務に関する原則に、会社の目指す姿に向けた「成長の道筋」を構築すべきことが新たに盛り込まれました。設備投資や研究開発・人的資本・知的財産といった無形資産への投資や事業ポートフォリオの見直しなど、経営資源の配分方針を株主に分かりやすく説明することが求められます。また、現預金や実物資産が成長投資に有効活用されているかを取締役会が不断に検証すべきとの規定も盛り込まれ、現預金などの資産保有の妥当性について説明責任を強化しました。
次に、取締役会の機能強化では、CEOの選解任や後継者計画への主体的な関与・監督が原則に明記され、リスク管理に関する取締役会の責任が強調されました。内部統制・全社的リスク管理体制の整備にあたり考慮すべき事項として、サイバーセキュリティリスク、地政学的要因によるサプライチェーン途絶リスク、技術などの情報流出リスクへの対応が解釈指針に新たに追記されました。
最後に、有価証券報告書の定時株主総会前開示では、有価証券報告書を株主総会開催日前に提出することが原則化されました。解釈指針では総会開催日の3週間以上前の提出が望ましいとされました。ただ、企業負担にも配慮し、株主総会の開催時期の後ろ倒しも含めて検討することが考えられる旨も補足されました。また、金融庁は有価証券報告書と事業報告などの一本化といった検討も進めます。
金融庁は改訂版CGコードの公表にあわせて、企業24社へヒアリングした事例集を公開しました。取締役会付議事項の見直しや指名委員会によるCEO候補育成など取締役会の機能強化に向けた実践事例を紹介しています。また、経営者・実務担当者・投資家の3者宛てにそれぞれ改訂の背景と留意点を解説した文書も作成、公表しました。