サステナ債やグリーンローンなどサステナブルファイナンス促進へ、2026年版のガイドラインを公表 環境省
環境省は2026年8月7日、国内の実務指針となる「グリーンボンド及びサステナビリティ・リンク・ボンドガイドライン2026年版」および「グリーンローン及びサステナビリティ・リンク・ローンガイドライン2026年版」を公表しました。パブリックコメント(同年4月27日~5月29日実施)を経て策定されたこのガイドラインは、2025年3月に改訂されたローン原則や、同年6月に改訂されたボンド原則など、最新の国際原則を国内指針へ反映させたものです。
サステナブルファイナンスにおける債券(ボンド)の原則は、ICMA(国際資本市場協会)が、融資(ローン)の原則はLMAなどの3団体(※1)が策定しています。環境省のガイドラインもこれら国際団体による原則の改訂に沿って見直されています。
ボンドについては、ICMAによる2025年6月のグリーンボンド原則(GBP)の改訂を反映し、グリーンイネーブリングプロジェクトについての記載・解説が追加されました。グリーンイネーブリングプロジェクトとは、CO2削減など直接的な環境改善効果は生み出さずとも、グリーンプロジェクトのバリューチェーンにおいて重要な役割を果たす事業や活動を指します。ICMAはこの考え方を2024年6月に公表しており、2025年版のGBPでは同ガイダンスへの言及が追加されています。
今回の環境省ガイドラインでは、こうした考え方を国内の実務指針にも取り入れ、グリーンプロジェクトのバリューチェーンを支える周辺事業について、適格性を判断する際の考え方を明確化しました。具体的には、太陽光パネルや蓄電池などの機器製造および再エネ・省エネ用のICTシステム(FEMS※2やBEMS※3など)の提供が、判断リスト(付属書1)に明確に登録されています。
ローンについてはグリーンローン原則(GLP)とサステナビリティ・リンク・ローン原則(SLLP)の双方が2025年3月に改訂され、環境・社会面での実効性を確保するための規律が強化されました。
サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)は、特定のグリーンプロジェクトを資金使途とする必要がないため、幅広い企業が活用しやすい一方、本業との関連性が乏しい目標を設定することで、実態以上にサステナビリティへの貢献があるように見せるグリーンウォッシュが懸念されてきました。
こうした懸念への対応として2026年版では、KPIや目標設定に関する規律が明確化されています。まず、本業との関連性が乏しい目標が設定されることを防ぐ観点から、KPIを決定する際には「少なくとも1つの中核的なKPI(Core KPI)を選択することが強く推奨される」とされました。次に、ローン期間全体を通じて目標の野心性を維持するため、原則として毎年、サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPT)を設定することが求められています。さらに、毎年の設定を行わない例外を認める場合には、直接コントロールできない外部要因や、非公表の設備廃止計画など競争上の配慮といった、客観的に妥当な「強い根拠(strong rationale)」が求められます。
なお、サステナブルファイナンスの最新動向や発行データは、環境省の特設ページ「グリーンファイナンスポータル」で確認できます。同サイトに掲載されている市場普及状況データによると、国内企業等によるグリーンボンドの発行実績は2023年がピーク(約3兆円)となっており、足元では発行件数・金額ともに拡大に一服感が見られます。
※1 LMA(ローン・マーケット・アソシエーション)、APLMA(アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション)、LSTA(ローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション)の3団体
※2 Factory Energy Management System(工場エネルギー管理システム)
※3 Building Energy Management System(ビルエネルギー管理システム)