日本の輸出額は4年ぶりに増加、2026年版「ジェトロ世界貿易投資報告」を公表 ジェトロ
日本貿易振興機構(ジェトロ)は2026年7月28日、世界と日本の貿易および直接投資の動向を分析した年次レポート「2026年版ジェトロ世界貿易投資報告」を公表しました。副題に「高リスクが常態化する時代に、踏みとどまる自由貿易体制」を掲げ、地政学的緊張が多層化・常態化する中でも、デジタル関連財を中心とした実需に支えられ、世界貿易が金額・数量ともに前年を上回って拡大した実態を示しました。
2025年の世界の財貿易額(名目輸出ベース)は前年比7.3%増の25兆2,988億ドルと過去最高を記録しました。生成AIの普及に伴う関連財の実需拡大に加え、米国による追加関税導入前の駆け込み輸出(フロントローディング)などが押し上げ要因となりました。ジェトロの推計によると、2025年のAI関連財輸出は前年比22.8%増の4兆1,547億ドルに達し、世界の輸出総額の16.4%、貿易の伸びに対する寄与率は45.1%を占めました。半導体やサーバーなどの生産集積に伴い、アジア域内でバリューチェーンが深化し、同分野におけるアジアの対世界シェアは66.4%と2019年から5.8ポイント上昇しました。
日本の2025年の貿易(通関ベース)は、輸出が前年比4.0%増の7,376億ドルと4年ぶりに増加しました。輸入も1.3%増の7,568億ドルと3年ぶりに増加し、貿易赤字が3年連続で縮小しました。精密な製造装置や素材など製造業の川上を支える分野で日本企業は高い世界シェアを維持しています。
貿易の拡大と並行し、現地での設備構築を伴う「直接投資」においても戦略分野への資金集中が加速しています。新規のグリーンフィールド投資(※)は件数こそ前年比6.7%減となりましたが、データセンター新設など安全保障や産業政策と結びつく戦略分野への投資は大型化し、投資総額は7.5%増の1兆4,131億ドルとこちらも過去最高額を更新しました。分野別では通信分野が全体の24.4%を占め、半導体や重要鉱物などに投資資金が集中しています。
日本の投資動向をみると、対外直接投資は前年比5.0%増の2,178億ドルとなりました。自動車などが牽引したインド向け投資が比較可能な2014年以降で最高を記録した一方、中国向け投資は4年連続で縮小しました。他方、対日直接投資は前年比約2.5倍規模の458億ドルに急伸しました。AI向け高性能メモリーの生産や大型データセンター設立といったAI関連のグリーンフィールド投資が上位を占め、日本国内への投資流入を牽引しました。
通商秩序を巡っては、世界貿易機関(WTO)第14回閣僚会議(MC14)で包括的な成果パッケージについて合意に至らず、多国間体制が揺らいでいます。ただ、WTOの既存ルールは貿易インフラとして機能しており、ジェトロは日本企業に対し、情報収集の体制整備や自由貿易協定(FTA)の能動的な活用を提言しています。
※グリーンフィールド投資とは、現地に新しい工場やデータセンターなどの設備をゼロからつくる投資のこと。投資計画が公表された「発表ベース」で集計される。