気候変動・生物多様性への対応を明示、環境マネジメントの国内規格「JIS Q 14001」改正 経産省/JSA
経済産業省および日本規格協会(JSA)は2026年8月20日、企業の環境保全活動を体系的に規定する環境マネジメントシステム(EMS)の国内規格「JIS Q 14001」を改正したと発表しました。今回の改正は、2021年に国際標準化機構(ISO)がすべての国際規格を通じて気候変動対策を推進することを約束した「ISOロンドン宣言」を契機に「ISO 14001」が2026年4月に改訂されたことを受けたものです。従来の環境負荷の低減や汚染予防といった内容から、気候変動や生物多様性、天然資源の利用可能性を含む地球規模の課題対応へと対象を拡大しています。経済産業省によると、国内におけるISO 14001認証取得組織は約2万件に上り、2029年4月の移行期限内での対応が求められます。
JIS Q 14001(環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引)は、組織が環境方針や目標を定め、PDCAサイクルに沿って継続的な改善を図るEMSの要求事項を定めた国内規格です。整合する国際規格「ISO 14001」は2015年版以来およそ11年ぶりの改訂となりました。
改正の主なポイントは以下の3点です。第1に、組織が考慮すべき具体的な環境状態として、「気候変動」に加え「生物多様性」「生態系の健全性」「天然資源の利用可能性」などが明記されました。これにより、企業は従来の事業所単位での公害防止などの取り組みに加えて、地球規模の環境課題を重要な経営リスクや機会として評価・管理することが求められます。
第2に、従来の「外部委託したプロセス」という用語が見直され、「外部から提供されるプロセス、製品及びサービス」へと対象が広がりました。これにより、委託先だけでなく、製品やサービスの供給者も含めたライフサイクル全体を考慮した環境管理が求められるようになります。
第3に、マネジメントシステム規格に共通する構造や用語を整合させる「共通構造(HS:Harmonized Structure)」に対応しました。品質マネジメントシステム(JIS Q 9001)や労働安全衛生マネジメントシステム(JIS Q 45001)など、他の規格との統合運用がやりやすくなります。これに伴い、「リスクと機会」の概念(有害な影響と有益な影響)が明確化されたほか、「変更の計画策定」の規定が新設され、事業内容やサービスの変更に伴って生じる影響を事前に予測し、適切に対応できるようになりました。変更による影響をあらかじめ見越して対処することで、例えば新規事業や新規サービス立ち上げ時に手戻りが発生するのを防ぐことにつながります。