環境省はこのほど、「調達におけるネイチャーポジティブに向けた実践ガイドライン」を初めて策定・公表するとともに、本ガイドラインに基づき調達体制の改善に取り組む「モデル事業」の参加企業の募集も開始しました。募集期間は9月24日まで。
ガイドラインは、国内企業が原材料や資材を調達する際、生物多様性の損失を止め自然を回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の観点を組み込むための具体的な指針となります。ネイチャーポジティブを巡っては、2022年に国連で国際目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組(GBF)」が採択され、2030年までの達成に向け、企業に対しても生態系回復や汚染防止などの主体的な取り組みが求められています。
日本政府は2023年に「生物多様性国家戦略2023-2030」を閣議決定し、2024年には「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」を策定しました。これを踏まえ2025年には、2030年までの工程を示した「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ(2025-2030年)」を公表、この中で「調達におけるネイチャーポジティブ配慮の推進」が掲げられ、今般のガイドライン策定に至りました。
法令順守を前提に、ガイドラインでは企業の取り組み事項を対応水準に応じて2つの区分に整理しています。事業者の責務として対応が必要な「区分A」と、先行的な取り組みや改善を推奨する「区分B」の2段階設定です。
区分Aには、自社の調達方針の策定をはじめ、サプライチェーンにおけるトレーサビリティ(追跡可能性)の確保、自然環境に対する影響・リスクの評価、自然資本の損失に加担しないサプライヤーからの調達といった項目が提示されています。調達における取り組み姿勢を調達方針として社内外に示すことは、ネイチャーポジティブ実践の第一歩であると位置づけられています。
区分Bでは、サプライヤーに対するエンゲージメント(協働・関与)戦略の策定、自然の保全・回復に取り組む取引先の優先選定、サステナビリティレポートなどを活用した進捗状況の外部開示などが盛り込まれました。別紙には参考となる指標一覧も掲載されており、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の中核指標やGRI 101、EUDR(欧州森林破壊防止規則)など、国際的なイニシアチブや規制・基準を踏まえて整理されています。
なお、環境省はガイドラインの公表に伴い、先進的な取り組みを行う企業事例集も公表しています。