気象庁は2026年8月21日、週間予報や季節予報のあり方を約30年ぶりに大幅刷新する提言を盛り込んだ有識者検討会(※)の報告書を公表しました。気象庁はこの提言を受け、従来の1カ月予報などで提供されていた「期間の平均や合計値」といった情報提供を改め、2週間先までの「日別予報」や、週ごとの詳細な天候予測などを2030年ごろを見据えて順次導入する方針です。
気象庁の中長期予報の基本仕様は、季節予報(1カ月予報)にコンピューター予測(数値予報)を本格導入した1996年以降、約30年間にわたって大枠が維持されてきました。従来の1カ月予報では、降水量や降雪量、日照時間が「1カ月全体の合計や平均」として発表されていたため、月全体で平年よりも多いか少ないかは分かっても、「何週目に大雨やドカ雪が降るのか」といった時期的な偏りまでは把握できないという課題がありました。また、気温予報についても1週目・2週目は週単位であるものの、3~4週目は2週間分がひとまとめにされており、途中で急激な寒波や昇温が起きても数値が相殺されてリスクが見えにくく、日別予報も7日先まででした。
一方で、数値予報モデルの精度向上やアンサンブル予報技術の発展は著しく、地球温暖化に伴う極端気象の頻発化も相まって、農業や物流、電力の安定供給、防災などの現場では、「1~2週間先や1カ月先の天候、気温の変化をもっと詳しく事前に知りたい」という要望が急速に高まっていました。こうした背景を踏まえ、報告書では情報の利便性向上と気候リスクの軽減を目的に、「2週間先まで」「1カ月先まで」「3カ月先まで」の3つの時間軸に分けた具体的な高度化策が明記されました。
第1に、「2週間先まで」の情報については、従来7日先まで提供されていた日別天気予報を14日先まで拡大します。あわせて、現行では5日先までに限られている大雪や暴風など警報級の現象が発生する可能性を示す「早期注意情報」を14日先まで拡充します。これにより、自治体による早期の防災体制の構築や、インフラ事業者による除排雪作業の事前準備、資機材・人員の事前手配が円滑になると期待できます。
第2に、「1カ月先まで」の情報については、予報期間を細分化します。従来は月全体の合計・平均値としてのみ発表されていた降水量、降雪量、日照時間を「1週目」「2週目」といった週単位に分割して提供します。気温予報についても、統合されていた3週目と4週目を切り離して週ごとの推移を明示します。さらに「かなりの高温」や「かなりの低温」が発生するリスクを早期に捉える予測枠組みを整備し、物流や農業、水産業、建設業といった天候の影響を受けやすい産業において、気候リスクの軽減や効率的な生産・輸送計画の策定を支援します。
第3に、「3カ月先まで」の季節予報に関しては、暑夏や暖冬の発生確率について、確度に応じたメリハリのある表記を採用します。あわせて、気象実況と今後の見通しを分かりやすく解説する「予報のポイント」を新たに設けることで、電力需要の調整や商品の仕入れ・販売計画といった社会経済活動全体の意思決定を後押しします。
※「1週間から数か月先の情報の高度化に関する検討会」のこと