環境配慮をアピールするマークや目印(環境ラベル)の活用が広がる一方、実態を伴わない「グリーンウォッシング」への懸念が高まっています。気候変動問題などへの関心から消費者の環境意識が高まる中、消費者庁は2026年8月20日、「環境ラベルに関する実態調査報告書」を公表しました。消費者庁が環境ラベルを焦点にして実態調査を行い、景品表示法上の考え方を整理したのは今回が初めてです。
調査報告書は、ECサイトなどから収集した139種類の環境ラベルの分析をはじめ、事業者・団体や第三者認証ラベル運営主体へのヒアリング、一般消費者1,000人を対象としたアンケート調査をもとに取りまとめられました。表示対象の範囲や原材料などの使用割合、削減率などが不明瞭な事例が多数確認され、景品表示法上の「優良誤認表示」として法令違反に問われるおそれがあると指摘しています(※)。
報告書では、不当表示とみなされかねない主な事例を以下の4パターンに分類しています。
1つ目は、「対象範囲の不明確さ」です。調査対象となった環境ラベル全体の1割強にあたる20種類が該当しました。具体的には、衣服のタグに「再生素材使用」と記載されているものの、対象が衣服本体なのか包装・タグ自体なのかが判別できない事例がありました。別途行われた消費者へのアンケート調査では、環境ラベルの印字があると、消費者の73.7%が「商品本体も含まれる」と認識していました。そのため、実際には包装や付属品など一部のみの配慮であるにもかかわらず商品全体と錯覚させた場合、優良誤認表示(景品表示法違反)となるおそれがあります。
2つ目は、原材料の使用割合や削減率の未表示です。再生素材やバイオマス素材の使用を訴求するラベル(62種類)のうち、具体的な使用割合が未表示のものが5割弱(29種類)ありました。別途行われたアンケート調査では消費者の約7割が「50%以上使用されている」と期待していました。そのため、実際の割合がごくわずかであれば消費者の誤認を招きます。また、プラスチック削減を訴求するラベルにおいても同様のケースがあり、消費者の期待値と実態とのギャップが問題視されました。
3つ目は、第三者認証の装いや誤認表示です。自社基準の表示であるにもかかわらず、「認証」の文字や認定番号を付し、第三者機関の認証を受けたかのように見える事例もありました。消費者は第三者認証に高い信頼を寄せるため、第三者認証と誤解させる表示は景品表示法上、禁じられています。
4つ目は、具体的説明のない漠然とした「エコ」の表示です。全体の4割強にあたる59種類が該当しました。説明文がなく「ECO」の文字や葉っぱのイラストのみで構成された表示に対して、消費者の55.1%が「何かしら環境に良い」と解釈するため、実際の環境効果と消費者の期待との間に大きな乖離が生じ、優良誤認表示として景品表示法上問題となるおそれがあります。
不当表示を防ぐため報告書では、「商品本体か包装か」「何%削減か」といった具体的内容を明瞭な文字で併記するよう、事業者に求めています。さらに消費者庁は報告書で示した考え方を環境省などと連携して広く周知、未然防止を図るとともに、不当表示が疑われる事案に対しては迅速に指導を行うとしました。
※景品表示法は、2009年9月に公正取引委員会から消費者庁に移管されました。