カルビー 様
| お客様 |
コーポレートリスク管理本部 コンプライアンス・リスク管理部 髙橋 淳 様 清原工場 工場長 手塚 勝則 様 清原工場 生産支援課 人事総務チーム/BCM事務局 松本 勉 様 清原工場 生産支援課 工場見学チーム/BCM事務局 早川 莉奈子 様 |
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| ニュートン・コンサルティング |
CSO 兼 エグゼクティブコンサルタント 久野 陽一郎 チーフコンサルタント 田中 駿介 |
カルビー様は、「ポテトチップス」「じゃがりこ」「かっぱえびせん」「フルグラ」など数々のロングセラー商品を展開する食品メーカーです。「掘りだそう、自然の力。」をコーポレートメッセージとして掲げ、自然の恵みを活かした商品づくりを推進しています。契約生産者と連携した馬鈴薯の栽培・調達など独自の原料調達体制を強みに、原料の生産・調達から製造・物流までを一貫して管理。持続可能な農業とおいしさの両立を目指した取り組みを進めています。国内では各地に生産工場や営業拠点を持ち、海外でも北米・アジア・欧州などで事業を展開中です。
このたび、工場別BCP訓練でニュートン・コンサルティングのBCP・サイバー訓練ツール「dan-lo」をご利用いただいた経緯やご感想をうかがいました。取材には、本社からコーポレートリスク管理本部 コンプライアンス・リスク管理部 髙橋 淳 様がご出席。また、全国の工場を代表して、清原工場BCM事務局の松本 勉 様と早川 莉奈子 様にもリモートでご参加いただきました。
髙橋:当社は1949年、食料が困窮していた時代に広島県で創立しました。自然の恵みを大切に活かし、おいしさと楽しさを創造して、人々の健やかなくらしに貢献することを理念として、時代のニーズをふまえた多様なお菓子・食品を届けてきました。国内のスナック菓子市場では約50%のシェアを有し、特にポテトチップス市場においては約70%のシェアを維持しています。「フルグラ」はシリアル食品市場においてもトップシェアを誇っています。
さらなる成長・発展を見据え、2030年を目標年とし、2025年度までの3カ年変革プランとして「Change 2025」を掲げています。具体的には、国内コア事業の収益力強化とグローバル、新規領域(アグリビジネスと食と健康事業)での事業展開を強化しています。
髙橋:コロナ禍をきっかけに、当社では東日本大震災後に策定したBCPが十分に機能しないという課題に直面しました。そこで、2021年からの3年間、ニュートン・コンサルティングの支援のもとでBCMの再構築プロジェクトを進めました。具体的には、国内工場および関係会社とのワークショップや、BCP文書の見直し、訓練シナリオテンプレートの作成などに取り組みました。
その後も、国内の工場では、それぞれの地域の特性などに即したBCP訓練を毎年実施しています。各工場が主体的に事業継続と向き合い、課題をセルフチェックするカルチャーを醸成してきました。
松本:宇都宮市にある清原工場は、「フルグラ」や「かっぱえびせん」といった主力製品を製造しています。国内工場の中で2番目に生産金額の大きな工場です。2021年にBCM再構築のプロジェクトが始まった際にはパイロット拠点の一つに選ばれ、他の工場に先駆けてワークショップや文書の見直しなどに取り組んできました。
東日本エリアは、ほとんどの工場が栃木県・茨城県に集中しています。日頃から連携が取りやすいというメリットがある一方で、巨大地震などが発生すると、多くの工場が同時に被災することになります。有事に速やかに事業を復旧するためには、訓練を積み重ねることが必要不可欠です。
早川:私は普段、清原工場で工場見学の案内を担当しています。有事の際には、従業員とその家族だけでなく、工場を訪れる一般の方々の安全を確保することも重要です。こうしたことも、清原工場がBCPに力を入れている理由の一つと言えます。
髙橋:私は本社の緊急事態対策本部事務局として、全社のBCP活動を支援し、事業継続力向上に向けて活動を推進しております。これまで、工場のBCP訓練については、本社事務局が訓練テーマと大筋のシナリオを提示し、各工場のBCM事務局と地域特性などを踏まえたすり合わせを実施してきました。
全国に多数の工場がある中で、シナリオ提示や訓練結果の確認にはPPTやExcelを使っていたのですが、情報集約に時間と手間がかかっていました。また、このまま同じ方法を進めると訓練内容がマンネリ化する、各工場の特有の課題を見落とす、なかなか自走化につながらないなどの懸念がありました。
このような中で、ニュートン・コンサルティングからBCP・サイバー訓練ツール「dan-lo」がリリースされたという知らせを受けました。生成AIを活用してシナリオを作成できるという独自の強みに大きな可能性を感じましたね。社内だけでは気づけない視点を取り入れながら、工場ごとに最適化された訓練シナリオを作ることができそうだと思いました。全工場のシナリオや訓練結果を一元的に管理できるというメリットもあります。そこで、2025年度、国内工場におけるBCP訓練でdan-loを導入することにしました。
髙橋:2025年度、全国10カ所の工場がdan-loを活用しながらBCP訓練を実施しました。プロジェクトの流れは次の通りです。
シナリオの設計期間中、本社事務局は各工場の準備状況をdan-lo上で見守り、必要な場合には助言しました。
各工場の評点については、本社事務局も一覧で確認することができます。
松本:私たち清原工場は、地震の発生を想定し、初動対応訓練と事業継続訓練の2回にわたる訓練を行いました。
まず、初動対応訓練では、応急救護班・初期消火班・通報連絡班・安全防護班の4班それぞれのシナリオをdan-loを活用して作成し、2025年11月に訓練当日を迎えました。今までは机上訓練を実施してきたのですが、今回は実働での初動対応訓練に挑戦しました。dan-loで作成したシナリオを用いて実際に体を動かし、リアルに発災時を想像できるようにしました。
後日、BCM事務局は初動対応訓練結果、清原工場のBCP方針書などをさらにdan-loに読み込ませ、事業継続訓練のシナリオを検討しました。そして、12月に事業継続訓練を机上で実施。各課が地震発生時の復旧手順を議論し、製品群ごとの事業復旧日数を整理することができました。
髙橋:リアルタイムでナレッジを共有できる環境が整ったと感じています。以前は、特定の工場の取り組みが素晴らしければ、私がその内容を資料にまとめて配布していました。それはそれで効果的ですが、時間がかかりますし、事後共有になってしまいます。しかし、2025年度にdan-loを導入したことで他工場のシナリオや設問を画面上で参照できるようになり、本社事務局を介さなくても互いの取り組みを学び合える環境が整いました。これは自走化を加速させる大きな一歩になったと思います。
髙橋:コンサルタントも同席する訓練では、コンサルタントの方からフィードバックをいただけるのですが、各工場だけで実施するとなると、現場自らが評価しなければならないため、自走化にあたってはそこが課題でした。dan-loは解説も出してくれるので、その手間が減ることはありがたいと思いました。
早川:シナリオ設計ではdan-loのAI機能を使いこなすことに苦戦しましたが、工場の状況や前提条件を具体的に入力すれば、自分たちが望んでいるような実態に即したシナリオに近づくことがわかりました。2025年度の訓練を終えて、これまで積み上げてきた一連のノウハウや情報を登録できたと思いますので、来年度以降につなげていきます。
松本:隣接する新宇都宮工場とは、dan-loにデータを入力するにあたって、適宜、お互いがどのように作業しているのか情報を交換しました。本社の髙橋さんにもアドバイスをもらいながら準備を進めました。当社だけでなく、同じような訓練を行っている他企業のベストプラクティスなどもdan-loのAI機能でアドバイスしてくれるようになれば、さらに活用の幅が広がるのではないかと期待しています。
髙橋:国内工場のBCP訓練では、2026年度もdan-loを活用する予定です。今回は集団訓練用に使いましたが、個人訓練にも対応しているツールですので、訓練が必要なメンバーには個別に取り組んでもらう、といったことも視野に入れたいと思います。
また、近年の社会はリスク環境が一層複雑化しているため、災害対応だけでなく、サイバー攻撃なども含めたあらゆる事態を想定して訓練を重ねる必要があると考えています。dan-loは現在、シナリオの拡充がさらに進んでいるところだと思いますので、当社もさまざまな機能を活用しながらリスクマネジメント力を底上げしていきます。
※取材は2026年3月に実施。記事内の所属先および役職名は、プロジェクト当時のものです。
| 名称 | カルビー株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都千代田区丸の内1-8-3丸の内トラストタワー本館22階 |
| 設立 | 1949年4月 |
| 事業内容 | 菓子・食品の製造・販売 |
| 利用サービス | BCP・サイバー訓練ツール「dan-lo」 |
CSO 兼 エグゼクティブコンサルタント
久野 陽一郎
現場の「自律性」と「デジタル」の融合。dan-loを活用し、BCP訓練を次なるステージへ
BCPの真価は、有事の最前線に立つ「現場」がいかに主体的に動けるかに集約されます。本プロジェクトでは、従来の「本社主導」から脱却し、各工場が自ら考え行動する「現場主導・自律型」の訓練体制構築という、難易度の高い変革に挑みました。
全国の工場の自律性を促すプロセスは平坦ではありませんでしたが、本社のリーダーシップと、それに応え真摯に訓練に向き合った現場の皆様の献身が噛み合い、組織の強靭性は確実に一段上のステージへと引き上げられました。
また、カルビー様は変革のエンジンとしてBCP訓練ツール「dan-lo」を導入し、訓練のDX化を推進されました。シナリオ策定からAIを活用した評価まで、プロセスをデジタル化したことで、運営負荷の軽減と評価の平準化という実効性のある効率化の足がかりを築くことができたのではないかと確信しています。
訓練後、現場の皆様から鋭いフィードバックもいただきました。この「生の声」をdan-loの改善に反映させ、より実働に即したものへと昇華させます。現場の皆様が「自ら危機を乗り越えられる」という確信を持てるよう、今後もカルビー様の強靭な組織作りを共に追求し続ける所存です。