全社的リスク管理(ERM)
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協和キリン 様

リスクと経営戦略を結び付ける研修で、グループリスクマネジメント委員会における議論の質を向上

研修 製造 5,000人以上
協和キリン 様

プロジェクトメンバー

お客様 コンプライアンス&リスクマネジメント部 企画開発グループ グループ長 兼 リスクマネジメントグループ マネジャー 八木 崇 様
コンプライアンス&リスクマネジメント部 リスクマネジメントグループ グループ長 田中 佑樹 様
ニュートン・コンサルティング 取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介
Drive Office 倉橋 繭子

お客様の会社概要

協和キリン様は、最先端のバイオテクノロジーを強みに、医療用医薬品の研究・開発・製造・販売を手掛けるグローバル・スペシャリティファーマです。日本を起点に米国、欧州、アジアパシフィックに研究開発・販売拠点を有し、グローバルに事業を展開しています。

このたび、ニュートン・コンサルティングによる経営層向けのリスクマネジメント研修を利用された経緯や成果などについて、コンプライアンス&リスクマネジメント部の八木 崇 様(企画開発グループ グループ長 兼 リスクマネジメントグループ マネジャー)、田中 佑樹 様(リスクマネジメントグループ グループ長)にうかがいました。

貴社の事業内容をお聞かせください。

コンプライアンス&リスクマネジメント部 企画開発グループ グループ長 兼 リスクマネジメントグループ マネジャー 八木 崇 様
コンプライアンス&リスクマネジメント部 企画開発グループ グループ長 兼 リスクマネジメントグループ マネジャー 八木 崇 様

八木:当社は、「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します」という経営理念のもと、医薬品の研究・開発・製造・販売を手掛けています。2030年に向けた戦略である「Story for Vision 2030」では、3つの疾患領域(骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患)に注力する方針を掲げ、オープンイノベーションなども活用しながらさらなる価値創出を推進しています。

私たちが目指すのはメガファーマではなく、「日本発のグローバル・スペシャリティファーマ」という唯一無二の存在です。現代表取締役社長CEOのアブドゥル・マリックは常々、企業としての理想の姿を富士山になぞらえて語っています。富士山の標高は世界的に見ると高くありませんが、日本のシンボルとして広く認知されています。私たちも、決して大きくはない企業規模ながら、創業以来培ってきた独自技術を活かし、世界中の患者さんから必要とされる存在になれるように事業を展開しています。

どのリスクをどこまで取るか、経営視点でコントロール

ERM(全社的リスクマネジメント)について、これまでの取り組みをお聞かせください。

コンプライアンス&リスクマネジメント部 リスクマネジメントグループ グループ長 田中 佑樹 様
コンプライアンス&リスクマネジメント部 リスクマネジメントグループ グループ長 田中 佑樹 様

田中:当社は従来から、各部署が洗い出したリスクを定期的にCSR委員会で取り上げて分析・検討するなど、リスクマネジメントや法令順守に精力的に取り組んできました。2019年のグループ会社における品質マネジメント上の課題を契機として、リスクマネジメント改善プロジェクトを立ち上げ、全社的なリスクカルチャーの醸成に一層注力しました。ワーストケースシナリオを想定した準備や、フォワードルッキングなリスクマネジメント(未来を予測して先手を打ったリスク対応)の定着のために実施した各種取り組みは、現在の活動のベースとなっています。

ここ数年は、従来のボトムアップによる取り組みに加え、トップダウンアプローチを取り入れ、経営の意思決定を支えるERMの高度化を進めています。2025年にはCSR委員会から分割・再編する形で「リスクマネジメント委員会」と「コンプライアンス委員会」を立ち上げ、リスクとコンプライアンスのそれぞれについて一層深く議論できるよう整備しました。

プロジェクトを立ち上げたきっかけは何ですか。

八木:2025年に新設したグループリスクマネジメント委員会は、グループの経営目標に影響を与えうる重要リスクを特定・評価し、対応する組織で、メンバーは経営層が中心です。同年秋に第1回委員会を実施したところ、「議論がリスクの回避・軽減にフォーカスしすぎている」「各リスクオーナーの役割理解にばらつきがある」といった課題が見えてきました。

先行き不透明な現代において、全てのリスクを避けることはもはや不可能です。例えば、地政学リスクなどの不確実性を理由に事業展開を控えれば、患者さんへ価値を届ける機会そのものを失いかねません。これは、当社のビジョンで掲げている「病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現する」ことに反しますし、結果として、当社が果たすべき役割や事業の可能性を狭めることにもつながりかねません。リスクを完全になくすことはできないからこそ、経営視点で「どのリスクを受容し、どこに投資し、どのリスクを低減するのか」を見極め、適切にコントロールすることが求められます。

あらためて、グループリスクマネジメント委員会の位置づけやリスクオーナーの役割、そしてリスクと戦略をセットで考えることの重要性を経営層に学んでもらうべく、研修を実施することにしました。

なぜ、ニュートン・コンサルティングを選ばれたのでしょうか。

八木:ニュートンさんにはこれまで、クライシスマネジメントやサイバーセキュリティ演習など、様々なリスクマネジメント活動に伴走いただきました。ERMに関しては、2020年のリスクマネジメント改善プロジェクトで、トップインタビューやワークショップをサポートいただきました。単にフレームワークを当てはめるのではなく、当社の課題・状況を踏まえた提案をしてくださる姿勢に信頼をおいているので、今回の研修もご依頼しました。

プロジェクト概要を教えてください。

田中:今回のリスクマネジメント研修は経営層を対象として、主に次のような目的で実施しました。

  • グループリスクマネジメント委員会やリスクオーナーの位置づけ・役割を理解すること
  • 重要リスクやリスクアペタイトに関する議論・決定・活用に必要な知識や、他社の取り組み事例を学ぶこと
  • 今後のグループリスクマネジメント委員会における議論をさらに高度化させること

準備にあたっては、事務局とニュートンさんでミーティングを行いました。「委員会メンバーのリスク認識とリスクオーナーシップを高めたい」「リスクにおける機会と脅威の両面から戦略を含めた議論ができるようにしたい」といった、事務局としての願いを共有し、グループリスクマネジメント委員会における課題を整理しました。これを踏まえて、当社の課題に即したオリジナルの研修を設計いただきました。

当日は勝俣さんが講師を務め、対面・オンラインのハイブリッド形式で研修を実施しました。今回の研修の特徴は、単なる知識習得にとどまらず、参加者の意識改革と行動変容を促す実践的な内容になっていたことです。研修では、「良質な問いをもってリスクと向き合うこと」の重要性が示されました。その上で、グループリスクマネジメント委員会の一員、またはリスクオーナーとして今後どのような「問い」を持ち、どのようなマインドで議論をすればよいのかを解説いただきました。

なお、今回の研修には、親会社であるキリンホールディングスの役員も高い関心を寄せ、当日オブザーバーとして参加しました。

今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか?

コンプライアンス&リスクマネジメント部 リスクマネジメントグループ グループ長 田中 佑樹 様

田中:当日は質疑応答やディスカッションが活発に行われ、経営層一人ひとりが今後とるべき行動を具体的にイメージできるようになりました。先日、第3回のグループリスクマネジメント委員会が開催されたのですが、研修での学びが実際の委員会運営にも活かされています。例えば、次年度の経営計画のガイダンスを準備するにあたっては、「戦略とリスクを一体で考える」という方針が明記されました。委員長を務める森佳子(Chief Compliance Officer(CCO))からも、「議論の質が向上した」という評価が寄せられています。

リスクマネジメントの最新トレンドをキャッチアップし続ける

苦労されたポイントや新たな気づきなどは?

コンプライアンス&リスクマネジメント部 企画開発グループ グループ長 兼 リスクマネジメントグループ マネジャー 八木 崇 様

八木:経営層がリスクとの向き合い方をアップデートし続けることの重要性を再認識しました。社会や当社をとりまく環境は日々変化しており、リスクマネジメントのトレンドも変わっていきます。つまり、過去に習得した手法に固執せず、新しい知見を学び続けることが必要です。その意味で、今回の研修はとても良い機会となりました。

冒頭は参加メンバーの表情から反応をうかがうことが難しく、「研修内容が伝わっているのかな?」と心配になりましたが、結果的には活発な意見交換が見られました。その様子を見て、新しい考え方や価値観を前向きに取り入れる文化が根付いていることをあらためて実感しました。これは、当社がこれまで合併や社名変更、グローバル展開などを経験する中で、変化を柔軟に受け入れる姿勢を養ってきたからだと思います。また、CEOがリスクマネジメントに対して高い関心をもっていることも、経営層がERMを主体的に推進できている理由の一つだと思います。

ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

インタビュー中の様子
インタビュー中の様子

八木:スケジュールの都合上、ご相談してから研修当日までの準備期間が比較的短かったのですが、勝俣さんには実践に役立つ研修を準備していただき、大変助かりました。情報の一方的な伝達ではなく、勝俣さんが「あなたなら、どうしますか?」と随所で投げかける研修スタイルでしたので、参加者の主体性を引き出すことができました。また、多数のコンサルティング実績を持つニュートンさんが講師を務めてくださったからこそ、参加者の納得にもつながったと思います。

今後の取り組みを教えてください。

田中:グループリスクマネジメント委員会では、今回の研修で得られた「戦略とリスクの接続」という視点をベースに、経営計画をより精緻なものにしていきます。事務局としては今後も、経営層をはじめとしたグループ内のステークホルダーに、リスクマネジメントに関する新たな知見を共有する機会を提供し続けたいと考えています。

本日は誠にありがとうございました。

当社取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介(左から2番目)、Drive Office 倉橋繭子(左)との一枚。
当社取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介(左から2番目)、Drive Office 倉橋繭子(左)との一枚。

※取材は2026年7月に実施。記事内の所属先および役職名は、プロジェクト当時のものです。

お客様情報 (2026年7月現在)

名称 協和キリン株式会社
所在地 東京都千代田区大手町1丁目9番2号 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
設立 1949年7月1日
※2008年10月1日付でキリンファーマ株式会社との合併により「協和醱酵工業株式会社」より「協和発酵キリン株式会社」に商号変更。
※2019年7月1日付で「協和キリン株式会社」に社名変更。
事業内容 医療用医薬品の研究・開発・製造・販売および輸出入等
利用サービス 役員リスクマネジメントリーダーシップ研修

担当の声

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント

勝俣 良介

経営層の主体的・継続的な学びが、リスクマネジメントの進化を促進する

「リスクマネジメント委員会がうまく機能しない」「もっと経営に役立つ場にしたい」という声を、企業の事務局から伺うことは少なくありません。一方で、実際には事務局が議題や資料を準備し、委員会を動かすことに追われ、経営者の主体的な関与が十分でないケースも見受けられます。

しかし、リスクマネジメントを実践する主体は現場であり、その方向性を決める主体は経営者です。どのリスクを重視し、どこまでリスクを取るのか。何を守り、どこまで備えるのか。それは経営の意思として判断すべきものです。

今回の研修では、経営者の役割や責任を確認するだけでなく、「経営者はどのような問いを持つべきか」「委員会で何を問いかけるべきか」「自らに何を問い続けるべきか」という点まで踏み込んで考えていただきました。また、親会社の役員も交え、リスクマネジメントのあり方について率直な議論が行われました。

経営層が自ら学び、対話し、自社のリスクマネジメントをより良くしようとする。こうした場を設けられること自体が、協和キリン様のリスクマネジメントに対する真摯な姿勢の表れだと感じています。

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