事業継続(BCP/BCMS)

三菱マテリアル 様

暗中模索から始まったBCPが、「これは使える」という確信に変わるまで

訓練・演習 製造 5,000人以上
三菱マテリアル 様

プロジェクトメンバー

お客様 三宝製作所 製作所長 竹田 隆弘 様
三宝製作所 事務部 永石 祐輝 様
高機能製品カンパニー 管理本部管理部 部長補佐 危機管理体制構築プロジェクトリーダー 石川 良彦 様
法務・コンプライアンス部 コンプライアンス・リスクマネジメント室 室長補佐 大開 智哉 様
ニュートン・コンサルティング シニアコンサルタント 谷野 祐規
チーフコンサルタント 奥津 巧海
チーフコンサルタント 中村 大七

お客様の会社概要

三菱マテリアル様は、非鉄金属の製錬をはじめ、家電リサイクル、銅加工、電子材料の製造などを幅広く手掛ける総合素材メーカーです。1871年に炭鉱・鉱山事業を開始して以降、事業範囲を広げながら日本の産業を支えてきました。1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併し、三菱マテリアルが発足。製錬から加工、リサイクルまでの一連の流れに強みを持ち、「人と社会と地球のために」という理念のもとで循環型社会実現への貢献を目指していらっしゃいます。

このたび、銅加工事業の拠点の一つである三宝製作所において、ニュートン・コンサルティングの「BCP訓練・演習支援サービス」をご利用いただいたご感想をうかがいました。取材には、本社から大開 智哉 様、石川 良彦 様がご出席。また、三宝製作所の竹田 隆弘 様、永石 祐輝 様にもリモートでご参加いただきました。

貴社の事業内容をお聞かせください。

法務・コンプライアンス部 コンプライアンス・リスクマネジメント室 室長補佐 大開 智哉 様
法務・コンプライアンス部 コンプライアンス・リスクマネジメント室 室長補佐
大開 智哉 様

大開:当社の事業の柱は4つあります。1つ目は金属事業で、非鉄金属(銅・金・銀・鉛・錫・パラジウムなど)の製錬を行っているほか、国内随一の処理能力で家電や廃基板のリサイクルも手掛けています。2つ目は高機能製品事業で、次世代自動車向けや半導体向けの銅加工品・電子材料を製造・販売しています。3つ目は、部品加工に不可欠な超硬工具類などを製造・販売する加工事業、4つ目は地熱発電や水力発電などを手掛ける再生可能エネルギー事業です。また、32カ国・地域に拠点を展開し、海外売上比率が5割を超えるなどグローバルに事業を展開しています。

高機能製品カンパニー 管理本部管理部 部長補佐 石川 良彦 様
高機能製品カンパニー 管理本部管理部 部長補佐 危機管理体制構築プロジェクトリーダー
石川 良彦 様

石川:今回のプロジェクトの対象である高機能製品カンパニーは、銅加工事業と電子材料事業に分かれており、両事業部とも高い競争力を持つ製品群を有しています。

銅加工事業では、銅製錬で製造した銅を、型銅や伸銅品(条・棒・板など)といった、お客様のニーズに合わせたかたちに加工しています。特に伸銅品は国内トップシェアを誇ります。電子材料事業部では半導体製造装置用のシリコン加工品、シール材、自動車用のサーミスタセンサなどを製造。半導体パッケージ向けの低アルファ線はんだめっき液は世界シェアNo.1となっています。

当事者がBCPを自ら作り、訓練で実効性を確認

BCMに関するこれまでの取り組みと、今回のプロジェクトのきっかけをお聞かせください。

大開:当社の直轄拠点やグループ企業ではBCP文書を整備していましたが、それは過去に経験した事象(東日本大震災や新型コロナウイルス感染症など)を踏まえた内容にとどまっており、未曽有の事象には対応できないのではないかという課題感がありました。また、内容も簡易で、業務の優先順位など、具体的な方針までは明文化できていなかったことから、有事の実効性について懸念がありました。こうした背景から、2024年度より、高機能製品カンパニーと金属事業カンパニーでBCM再構築を本格的に進めることになりました。

石川:高機能製品カンパニーの拠点の一つである三宝製作所は、製錬された銅の塊に加工を施す場所です。他社では代替が困難な、特殊技術を用いる製品も多数あります。今回は他拠点に先駆け、三宝製作所でのBCP策定・訓練に取り組みました。

なぜ、ニュートン・コンサルティングを選ばれたのでしょうか。

大開:当社は「現場主導型でBCPを構築したい」「ただBCPを策定するだけではなく、訓練も実施してPDCAを回したい」という強い思いを持っていました。現社長の田中は、東日本大震災のほかに、2015年には大雨による筑波製作所の浸水被害も現場で経験しており、「いざという時に機能する危機管理体制を築くためには、従業員自らが当事者意識を持つ必要がある」と痛感してきたためです。

複数のコンサルティング会社を比較・検討する中で、こうした当社の方向性と最も合致していたのがニュートン・コンサルティングでした。ニュートンさんは本分野の専門コンサルティング会社であり、BCPの文書を作ることをゴールとしておらず、作るプロセスが大切だと説いておられました。また、ワークショップなどを通して、参加者の当事者意識を高めるコンサルティングを重視しています。ニュートンさんの掲げる「BCP活動を効果的にする5つの鉄則」(図1)は、まさに当社が実現したいことそのものでした。この会社となら、同じ認識でプロジェクトを進めることができそうだと思い支援を依頼しました。

図1:ニュートン・コンサルティングが掲げる「5つの鉄則」
図1:ニュートン・コンサルティングが掲げる「5つの鉄則」

プロジェクト概要を教えてください。

インタビューの様子

石川:本プロジェクトは、高機能製品カンパニーおよび金属事業カンパニーの両方において、実効性のあるBCMを構築し、様々な事象に対応可能なオールハザード型のBCPへと転換することを目的として2024年から開始しました。

高機能製品カンパニーでは、フェーズ1として、カンパニープレジデントへのトップインタビューを通じて、有事対応における行動の優先順位や、優先して復旧すべき製品の選定基準に関する考え方をヒアリングしました。この結果を踏まえ、BCP基本方針書を策定しました。

続くフェーズ2では、高機能製品カンパニーのCMPおよび三宝製作所におけるBCPの策定に着手しました。フェーズ1で決定した基本方針に基づき、具体的に優先すべき製品とその復旧目標を決定した後、優先製品の製造継続と復旧策の検討を行いました。ここでは、優先製品に関わる製造および間接部門の管理者(約20名)が、2回のワークショップを通して具体的な対策を検討し、その結果をBCPに反映させました。

三宝製作所 製作所長 竹田 隆弘 様
三宝製作所 製作所長 竹田 隆弘 様

竹田:フェーズ3では三宝製作所で、BCP策定に関わった当事者を対象としたBCP訓練を実施しました。この訓練では、南海トラフ巨大地震を想定し、現行のBCPが有効に機能するかどうかを検証しました。現在は、BCPの実効性をさらに高めるために、訓練で洗い出された課題の改善に取り組んでいるところです。

今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか?

竹田:ワークショップで議論を交わしながらBCPを策定したものの、いざ南海トラフを想定した机上訓練をしてみると、策定時には意識できていなかったことが多数見えてきました。例えば、「水の備えはもっと必要だよね」「有事の連絡手段は?」「出勤メンバーはどのように確保すべきか」といったことです。あらためて訓練の重要性を感じました。

三宝製作所 事務部 永石 祐輝 様
三宝製作所 事務部 永石 祐輝 様

永石:策定時に事務局として各部署とやり取りをする中で、重要な経営資源はそれぞれの部署で把握されている一方、全体では共有されていないことが分かりました。今回の訓練を通じて情報が共有されたことは大きな成果でした。

また、有事に一つの部署だけで対応を完結させることは難しく、他部署との連携が不可欠であることも改めて認識しました。例えば、生産を復旧させるためには設備のメンテナンスが必要なのですが、自部署だけで解決することは難しい。必要に応じて他部署のメンバーにも協力を仰ぐ必要があります。この学びを踏まえて、平時においても部門間の連携が一層強化されたと思います。

石川:三宝製作所のBCP策定・訓練を通じて得られた知見と手応えは、高機能製品カンパニー内のモデルケースとなりました。現場主導でBCPをつくり、訓練で磨き上げる―。そのプロセス自体が、持続的な事業継続力につながることを示した事例となりました。

私自身は、三宝製作所以降の他拠点への策定・訓練展開はニュートンさんの力を借りずに社内で行うということが課題でした。三宝製作所のプロジェクトでの学びを活かしながら、高機能製品カンパニーが所管する堺工場や若松製作所でも、同じ流れでBCPの策定を実施することができています。

プロジェクトを通して知見と当事者意識が高まった

苦労されたポイントや新たな気づきなどは?

石川:実は、プロジェクト開始時は私自身も含めて、関係者の間で「いったい何が始まるのだろう」という戸惑いがありました。自分たちが主体となってBCPを作ったのは初めてだったので、新たな試みを行うことに対して漠然とした不安もありましたね。しかし、BCPの策定・訓練という流れの中で、参加者たちは事業継続を自分事として捉えられるようになりました。私自身も今、危機管理体制の構築という任務に一層のやりがいを持っています。

永石:三宝製作所では初めて訓練を実施したため、何から始めるべきなのかも分からない状態でのスタートでした。しかし、準備の過程ではニュートンさんとの定例ミーティングの中で、次回のミーティングまでに何をやらなければいけないのかを明確に示していただいたので、安心して進めることができました。

ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

石川:「ニュートンさんの専門的な知見を最大限吸収しなくては」と思っていたので、プロジェクト中、不明点はコンサルタントの皆さんに遠慮なく質問させてもらいました。毎回丁寧に答えていただけるからこそ、また新たな疑問点が出てきて、さらにご相談して…対話を重ねることで事務局としての知見も高まり、自走化につなげることができました。

永石:個人的には、通常であれば「コンサルタントに相談する」というのは気が引けてしまうのですが、ニュートンさんは私たちと同じ目線で考えてくださるので、気軽に質問することができました。私は適宜、コンサルタントの奥津さんと一対一でオンラインミーティングをさせてもらいながら、不安点を都度解消していました。

インタビュー中の様子。竹田様・永石様には三宝製作所からリモートでご参加いただきました
インタビュー中の様子。竹田様・永石様には三宝製作所からリモートでご参加いただきました

今後の取り組みを教えてください。

大開:引き続き、他拠点にもBCP策定・訓練のプロジェクトを拡大させ、全社で体制強化を進める予定です。また、BCPの策定や訓練の参加対象は拠点内のリーダー陣だけでなく、あらゆるレイヤーの従業員へと広げる必要があります。さらに、今後は自社だけでなく、サプライチェーンの皆様とも、有事の事業継続を念頭に一層強い協力関係を築く必要があるとも考えています。

本日は誠にありがとうございました。

当社アソシエイトコンサルタント 谷野 祐規(右から3番目)、コンサルタント 奥津 巧海(右から2番目)、コンサルタント 中村 大七(右)との一枚。
当社アソシエイトコンサルタント 谷野 祐規(右から3番目)、
コンサルタント 奥津 巧海(右から2番目)、コンサルタント 中村 大七(右)との一枚。

※取材は2025年12月に実施。記事内の会社概要、所属先および役職名は、プロジェクト当時のものです。

お客様情報 (2025年12月現在)

名称 三菱マテリアル株式会社
所在地 東京都千代田区丸の内三丁目2番3号
創業 1871年 (1990年に現在の三菱マテリアル株式会社として発足)
事業内容 金属事業カンパニー:銅鉱山への投資、銅・金・銀・鉛・錫・パラジウムなどの製錬、家電などのリサイクル
高機能製品カンパニー:銅加工品、電子材料などの製造・販売
加工事業カンパニー:超硬製品などの製造・販売
再生可能エネルギー事業部:地熱・水力発電など
利用サービス BCP訓練・演習支援サービス  /  BCM/BCP改善・再構築支援サービス

担当の声

シニアコンサルタント 谷野 祐規

シニアコンサルタント

谷野 祐規

三位一体で築く、本質的なBCPへの昇華

BCPとは、有事において事業を継続するための計画です。しかし、現実の有事には常に「想定外」が付きまといます。その意味で、「想定外を計画する」という行為は、一見すると概念的な矛盾をはらんでいるとも言えます。本プロジェクトは、まさにこのような逆説に真摯に向き合う取り組みでした。

三菱マテリアル様では、本社が全社的な考え方と判断の軸を示し、カンパニーが事業特性に即した基準へと落とし込み、三宝製作所がそれを現場として具体的な行動として形にするという、まさに三位一体となったBCPの再構築に取り組まれました。あらかじめ「答え」を用意するのではなく、「有事に直面した際に何を優先し、どのように判断するのか」という思考のプロセス自体を組織に組み込んでいった点に、本取り組みの本質があると感じています。

さらに、訓練を通じて計画を疑い、修正し、磨き上げるプロセスを経験されたことで、BCPは文書ではなく、組織の判断軸として機能し始めました。想定外を完全に排除することはできません。しかし、平時から想定外に直面したときに「どう考え、どう動くか」を共有できている組織は、確実にレジリエンスの高い組織です。本プロジェクトは、そのことを実践的に示していただいたものだと考えています。

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