サイバーセキュリティ

日本化薬 様

サイバー攻撃対応BCPの構築で、積極的な事業展開を推進する基盤を確立

構築・策定 製造 5,000人以上
日本化薬 様

プロジェクトメンバー

お客様 日本化薬 内部統制推進部 リスクマネジメント担当 山下 俊雄 様
日本化薬 情報システム部 情報セキュリティ担当 主管 北清 康弘 様
三菱総研DCS 桐生 伸喜 様
ニュートン・コンサルティング シニアコンサルタント 備酒 求
チーフコンサルタント 黒川 楓
コンサルタント 渡邉 雄大

お客様の会社概要

日本化薬様は1916年創業の化学品メーカーです。「世界的すきま発想。」をスローガンに掲げる同社は、独自の技術で、自動車安全部品や半導体材料向けの高機能エポキシ樹脂、抗がん剤など、社会から求められる製品を幅広く製造しています。

このたび、ニュートン・コンサルティングの「サイバー攻撃対応BCPコンサルティングサービス」をご利用いただいた経緯や成果について、サイバー攻撃対応BCPの構築を担当された山下 俊雄 様(日本化薬 内部統制推進部 リスクマネジメント担当)と、CSIRTマニュアルの改正を担当された北清 康弘 様(日本化薬 情報システム部 情報セキュリティ担当 主管)、桐生 伸喜 様(三菱総研DCS)にお話をうかがいました。

貴社の事業内容をお聞かせください。

山下:当社は、火薬・染料・医薬・樹脂の分野で培った独自技術を強みに、自動車安全部品や電子材料、医薬品などを手がける化学品メーカーです。自動車衝突時に作動する安全部品向けのガス発生装置や、半導体向けの高機能エポキシ樹脂などで世界トップシェアを誇り、がん関連製品のラインアップも国内トップクラスです。

2026年度、当社は新たな長期経営計画「Evolution2035」を打ち出しました。「KAYAKUの技術で人と地球の未来に安心・豊かさ・感動を」という理想の姿を実現するために、既存事業の収益性を高めるだけでなく、新事業創出やM&A、カーボンニュートラルの実現に向けた研究事業にも取り組んでいます。2035年度には売上高5,000億円、ROE15%以上を達成する目標です。

セキュリティとレジリエンスの両方を鍛える

これまでの取り組みと、プロジェクトを立ち上げたきっかけについて教えてください。

日本化薬 内部統制推進部 リスクマネジメント担当 山下 俊雄 様

山下:当社が手掛ける製品は、自動車・化学・医療といった、様々な産業を支えています。もしサイバー攻撃を受けて、当社の出荷業務が長期間停止した場合、サプライチェーンを含む広範囲に影響が生じます。例えばモビリティ&イメージング事業の場合、当社の製造するエアバッグのインフレーターが出荷できない事態に陥ると、エアバッグを製造するメーカーのみならず、その先の車体製造メーカーなどの事業も止めかねない状況になります。

サイバーセキュリティに関しては、研修などを通して全社的な知見の底上げを図ってきました。しかし、サイバー攻撃の脅威が高まる今、企業に求められるのはサイバー攻撃から自社を守ることだけではありません。「サイバー攻撃を受けた場合でも、事業を早期復旧させる力も必要だ」という課題感がありました。さらに、当社は現在、長期経営計画の実現に向けて「攻め」の姿勢でビジネスを拡大しており、リスクマネジメント全般を一層強化すべき時期に突入しています。これらの背景から、情報システム部にサイバーの専門部隊を設置するなど、ここ数年でIT-BCPのさらなる強化を進めてきました。今回のプロジェクトではその一環として、CSIRTマニュアルの改正やサイバー攻撃対応BCPガイドラインの策定を進めることになりました。

なぜ、ニュートン・コンサルティングを選ばれたのでしょうか。

山下:他社とも比較・検討しましたが、ニュートン・コンサルティングには2025年に経営層向けのサイバーセキュリティ対応能力向上研修もサポートいただいており、すでに信頼関係を築いていました。また、サイバーや危機などの個別分野にとどまらず、経営を含む上流を対象としたリスクマネジメントに強みがあり、広い視野を踏まえた支援が可能な点も、ニュートンさんを選んだ理由の一つです。

プロジェクト概要を教えてください。

日本化薬 情報システム部 情報セキュリティ担当 主管 北清 康弘 様

北清:今後のサイバーレジリエンスの強化を見据えて、2025年11月から2026年3月までの5カ月間で、CSIRTマニュアルの改正とサイバー攻撃対応BCPガイドラインの策定に取り組みました。

CSIRTマニュアルは、隔週の定例会でニュートン・コンサルティングと議論しながら改正を進めました。具体的には、サイバー攻撃への対応をより迅速かつ確実に行うために、現行マニュアルを国際標準であるISO文書体系などと照らし合わせて課題を特定し、CSIRTの対応範囲やトリアージプロセスを改善しました。後日、改正後のマニュアルの実効性を確認すべく、ランサムウェア攻撃を想定した訓練も実施しました。サイバー攻撃の検知から対策本部の設置、外部公表、業務継続に至る一連の対応をシミュレーションしたことで、マニュアル改正時には気づくことができていなかった項目を洗い出しました。現在はそれらを踏まえたブラッシュアップを進めています。

山下:サイバー攻撃対応BCPのガイドライン策定は私が担当しましたが、情報セキュリティについては知識が不足していたため、まずはニュートン・アカデミー・プラスのe-learning研修「IT-BCP/サイバー攻撃対応BCP(基礎知識編)」を受講しました。専門用語や基本的な考え方を理解した上で、ニュートンさんによる半日間の研修を受け、当社におけるIT-BCPの現状や課題を整理しました。

その上で、IT-BCPの定義や策定の目的、進め方を社内で共有できるよう、「サイバー攻撃対応BCPガイドライン」を新たに策定しました。プロジェクトを終えた今は、より実践的なIT-BCP訓練の実施や、現場社員向けのIT-BCPガイドラインの策定などを検討しているところです。

インタビュー中の様子

今回のプロジェクトの成果はいかがでしたか?

山下:CSIRTマニュアルをより実効性の高い状態にアップデートすることができたこと、サイバー攻撃対応BCPガイドラインを策定できたことは、これからIT-BCPを強化する上での大きな一歩となりました。

また、内部統制推進部と情報システム部とのコミュニケーションが活発になり、IT-BCPを推進する体制がより強固になりました。私は社歴が長い一方で、サイバーセキュリティについては基礎から学ぶ必要がありました。セキュリティ専門部隊を率いる北清は、高い専門知識を持っているものの、中途入社のメンバーとして日本化薬のリスクマネジメントの仕組みをより深く理解する必要がありました。互いの強みと課題を持ち寄って対話する中で、信頼関係を築くことができたと思います。最近は当社のリスクマネジメント関係者も世代交代や組織改編が進んでおり、両部署の関係性を再構築することも課題となっていました。その意味でも、今回のプロジェクトはとても良い機会となりましたね。

自社が目指すべき姿が明確に。IT-BCP強化の第一歩を実現

苦労されたポイントや新たな気づきなどは?

三菱総研DCS 桐生 伸喜 様

桐生:CSIRTマニュアルの改正では、情報システム部の社員などをインシデントマネージャーに据え、高い専門性と技術力を持つメンバーがスピーディに判断・対応できるようにしました。ただ、改正版マニュアルの実効性を確かめるために実施したサイバー訓練では、「この立場のメンバーに、この作業を任せると対応フローが停滞するのではないか」といった改善点が予想以上に多く見つかりました。考え抜いたつもりでも、リアルな状況を想定して実験しなければ課題は見えてこないのだと気づきましたね。

ニュートンのコンサルティングはいかがでしたか。

北清:情報システム部はセキュリティの専門知識を持つメンバーで構成されていますが、自分たちだけでCSIRTマニュアルを改正した場合、その内容が適切なのか、確証を持つことはなかなか難しいものです。その点、リスクマネジメントの専門家であるニュートンさんから客観的なアドバイスを受けたことで、「自分たちが考えている方向性は間違っていない」という答え合わせができて安心しました。詳細な訓練シナリオも、自社だけでは完成できなかったと思いますので、支援いただけてよかったです。

今後の取り組みを教えてください。

山下:今後もIT-BCPの強化に向けた取り組みを続けます。前述のとおり、CSIRTマニュアルに関しては、訓練を通して洗い出された課題を踏まえてブラッシュアップを図る予定です。また、サイバー攻撃対応BCPについては、現行のガイドラインを現場向けに展開するだけでなく、部門ごとにワークショップを開いて、一人ひとりがIT-BCPへの理解をさらに深める機会を持てたらと考えています。

本日は誠にありがとうございました。

当社シニアコンサルタント 備酒 求(右から3番目)、チーフコンサルタント 黒川 楓(右)、コンサルタント 渡邉 雄大(左から2番目)との一枚。

※取材は2026年5月に実施。記事内の所属先および役職名は、プロジェクト当時のものです。

お客様情報 (2026年5月時点)

名称 日本化薬株式会社
所在地 東京都千代田区丸の内二丁目1番1号 明治安田生命ビル(19階、20階)
設立 1916年6月5日
事業内容 モビリティ&イメージング事業領域、ファインケミカルズ事業領域、ライフサイエンス事業領域における各種製造
利用サービス サイバー攻撃対応BCPコンサルティングサービス  /  CSIRT実戦力強化サービス  /  e-learning研修:IT-BCP/サイバー攻撃対応BCP(基礎知識編)

担当の声

チーフコンサルタント

黒川 楓

事務局の機動力と当事者意識が導いた、サイバー攻撃対応BCP・CSIRT活動への道

サイバー攻撃対応BCPとは、単なるITシステム復旧の手順書ではありません。ITシステムが使用できなくなった有事において「いかに自社の事業を継続するか」を定義する、経営戦略そのものです。したがって、IT・セキュリティ部門だけの活動に留めてはならず、経営層、現場、コーポレート部門が全社一丸となって取り組むことが不可欠となります。

本プロジェクトでは、CSIRTマニュアルの改正と課題抽出型訓練、サイバー攻撃対応BCPの前提知識理解を含めた勉強会の実施や文書作成まで、サイバー攻撃におけるレジリエンスを総合的に高めるための包括的なご支援をご提供しました。隔週の定例会や日々のレビューを通じて何度も打合せを重ね、細部まで泥臭く議論を詰めたこともございました。タイトなスケジュールの中で何ができるかを必死に考え、我々としても約半年間、全力で駆け抜けたプロジェクトでした。

こうして無事今回のご支援を終えることができたのは、ひとえに事務局の皆様の強い当事者意識、そして何より意欲的に取り組む姿勢があったからにほかなりません。関係各所を巻き込むことが必須であるこの難題に対し、皆様が発揮された現場への巻き込み力、そして状況に応じて柔軟に動く機動力は、今後さらにこの活動を進めていく上でも、日本化薬様の大きな強みとなると確信しています。

今後さらに活動を進めていく上で、今回の取り組みが日本化薬様のレジリエンスをさらに高め、社会の安心を支え続ける一助となれば幸いです。

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