スタッフサービス・ホールディングス 様
| ニュートン・コンサルティング |
CStO 兼 エグゼクティブコンサルタント 坂口 貴紀 コンサルタント 落合 優衣 |
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株式会社スタッフサービス・ホールディングス(以下スタッフサービス・ホールディングス)様は、リクルートグループの人材派遣領域を担う国内最大級の人材サービス企業です。約10万人の派遣スタッフが就業し、「チャンスを。」という経営理念のもと、事務職、技術者、ITエンジニア、医療・介護、製造・軽作業・サービスなど幅広い分野で事業を展開しています。経験の有無にかかわらず、働こうと想う方々に一つでも多くの就業機会を創出することを使命としており、その事業努力そのものが個々の人権を尊重する活動に直結するという考えを根底に持っています。この度、人権リスクマネジメントのさらなる強化のため、人権リスク対応サービスをご利用いただきました。
人材派遣業界は、自社の従業員だけでなく間接雇用である「派遣先企業で働くスタッフ」という多様な職場環境で働く派遣社員の管理が求められるため、他業界に比べて人権侵害のリスクが構造的に見えにくいという課題があります。また、近年の国際的な「ビジネスと人権」への関心の高まりを受け、さらなる対策が必要になっています。
スタッフサービス・ホールディングス様においては、リクルートグループ内で人材派遣事業を統括するRGF StaffingB.V.(本社:オランダ)が欧州基準での人権対応を進めており、国内事業においても同水準の対応が求められるようになりました。また、現場でもクライアントからサステナビリティに関する調査票が年間200~300件届いており、全社的な対応が急務となっていました。こうした背景から、国際基準および国内法を踏まえた人権デュー・ディリジェンス(人権DD)の取り組みをスタートしました。
人権DDの取り組み推進にあたって重要なポイントは客観性・公正性の担保です。そのため、スタッフサービス・ホールディングス様は自社のみで活動を行うのではなく、第三者である外部からコンサルティング会社を起用する判断に至りました。複数社を比較・検討した上でニュートン・コンサルティングを採用いただいた決め手は、過去5年間にわたってBCP(事業継続計画)関連プロジェクトをご支援してきた実績でした。ニュートン・コンサルティングでは2020年からBCP評価・再構築、初動対応訓練などのご支援を継続しており、これらを通じて組織風土やカルチャーを理解できていたことが人権DDという難度の高いプロジェクトでの起用につながりました。
今回のプロジェクトは、ニュートン・コンサルティングがスタッフサービス・ホールディングス様と共にスタッフサービスグループにおける人権リスクの概観を把握することからスタートしました。その上で、プロセスを通じてスタッフサービスグループの主要な関係者が自社の人権課題を正しく捉え、適切な意識を持っていただくことを通じて、今後の永続的な人権DD活動のスタートを切っていただくことをねらいとした、約9カ月にわたるご支援となりました。特に、約10万人の派遣スタッフを抱えるビジネスモデル特有のリスクに焦点を当てた評価を目指しました。具体的なステップは下記の通りです。
プロジェクトの最大の特徴は、事務局レベルの調査にとどまらず、経営層や部門長を深く巻き込んだアプローチを採用した点にあります。リスクアセスメントの設計段階では、まず社長へのトップインタビューを実施し、経営層の思いやプロジェクトへの期待を直接汲み取ることで、単なる形式的な調査ではない、スタッフサービスグループ独自の評価を設計しました。
具体的なプロセスでは、経営層向けの事前説明会を通じて、最新の人権動向やスタッフサービスグループの取り組み方針への理解を深めていただいた上で、机上調査とヒアリングを並行し、潜在的なリスクの可視化を進めました。リスク可視化のために用いた指標は、日本国内の関連法令および国際基準であるHRCA(※)です。国内法と国際基準の二軸を用いることで、各方面からの要請と自社の現状を改めて俯瞰して整理するとともに、国内法と国際基準との間にあるギャップにどう対応するかといった課題の共有にもつながりました。
最終ステップである経営報告会では、現状の取り組みとプロジェクトの成果として浮き彫りになった課題を網羅的に共有しました。これにより、経営層が自社のリスクを改めて認識し、次なるアクションへ踏み出すための場となりました。
人権を巡る社会情勢や価値観は常にアップデートされているため、企業の対応に明確なゴールはありません。今回のプロジェクトでは、この点を関係者間での共通認識にできたことも大きな収穫でした。今後は把握した人権リスクの概観を踏まえ、既存の管理策強化も含めた中長期的・継続的な対応を検討していく予定とのことです。
(※)Human Rights Compliance Assessment:デンマーク人権研究所が開発した、企業が自社の事業活動における人権リスクを特定・評価するための診断ツール。
| 名称 | 株式会社スタッフサービス・ホールディングス |
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| 所在地 | 東京都千代田区神田練塀町85 JEBL秋葉原スクエア |
| グループ創業 | 1981年 |
| 事業内容 | 事務職、技術者、ITエンジニア、医療・介護分野、製造・軽作業・サービス分野の人材総合サービスを展開するスタッフサービスグループの経営管理、およびそれに付帯する業務 |
| 利用サービス | 人権リスク対応サービス |
CStO 兼 エグゼクティブコンサルタント
坂口 貴紀
コンプライアンスの枠を超え、「チャンスを。」を守り抜くためのリスクマネジメント
スタッフサービス・ホールディングス様とは、過去5年間にわたるBCP(事業継続計画)関連のご支援を通じて、組織風土やカルチャーを深く共有させていただいておりました。今回、「人権DD」という非常に難度が高く、かつ経営の根幹に関わる重要なテーマをご相談いただいた際、これまでの信頼関係があってこそと大変身が引き締まる思いでした。
人材サービス企業として約10万人の派遣スタッフを抱えるスタッフサービスグループ(SSG)様にとって、人権リスクは構造的に発生しやすく、決して避けては通れない課題です。だからこそ、今回のプロジェクトでは「クライアントからの調査票へ回答するための形式的なコンプライアンス対応」で終わらせず、ERM(全社的リスクマネジメント)の一環として、経営層が自社の本質的なリスクとして認識し、向き合うための仕組みづくりを強く意識しました。
そのため、事務局レベルの調査にとどまらず、社長をはじめとする経営層の方々へ直接インタビューを行い、想いや期待をプロジェクトに反映させる「トップダウンのアプローチ」を提案しました。国内法と国際基準(HRCA)の二軸を用いたギャップ分析は、時に厳しい現実を突きつけるものでもありましたが、SSGの経営陣のみなさまはそれらから目を背けることなく、自社の課題として真摯に受け止められていました。その誠実な姿勢こそが、本プロジェクトを成功に導き、SSGのさらなる企業価値向上につながる最大の要因だと感じています。
人権を巡る社会要請や価値観は常にアップデートされており、この取り組みに「これで完璧」という明確なゴールはありません。しかし、今回のプロジェクトを通じて「自社の人権リスクの概観を正しく捉え、中長期的・継続的に改善していく」という共通認識を持てたことは、永続的な人権DD活動に向けた素晴らしいスタートになったと確信しています。今後も、良きパートナーとして、SSGのさらなる挑戦とリスクマネジメントの高度化を全力でサポートさせていただきます。