スタッフサービス・ホールディングス 様
| ニュートン・コンサルティング |
CStO 兼 エグゼクティブコンサルタント 坂口 貴紀 チーフコンサルタント 梅林 澄人 コンサルタント 角田 菜月 コンサルタント 落合 優衣 |
|---|
株式会社スタッフサービス・ホールディングス様は、リクルートグループの人材派遣領域を担う国内最大級の人材サービス企業です。全国規模のネットワークを活かし、事務職、技術者、ITエンジニア、医療・介護、製造・軽作業・サービスなど幅広い職種に対応することで、企業の多様な採用ニーズと求職者の就業機会を橋渡ししています。この度、有事の際の全社的な対応力をさらに向上させるため、BCM/BCP改善・再構築支援サービスをご利用いただきました。
約10万人の派遣スタッフの就業を支えるスタッフサービス・ホールディングス様は、有事の際に社員やスタッフの命を守ることを最優先とし、BCP(事業継続計画)策定、各種マニュアルの整備、自衛消防組織の組成など様々なリスクマネジメント活動を進めてきました。特にBCPに関しては、東日本大震災を教訓に新版を策定し、首都直下地震を想定して大阪を代替拠点とする体制を定めるなどの強化を行っていました。
このBCPを見直す契機となったのが、コロナ禍による「ニューノーマル(在宅勤務などの新たな勤務・生活様式)」の浸透です。従来のBCPではカバーできない新たな課題が出てきたことを受け、BCPの実効性検証や継続的な改善も含めた抜本的な改善を行うことを決めました。
プロジェクト開始にあたって目指したのは、現場も含め全社的なリスクマネジメント活動を展開し、3年程度を目途に自走化することでした。トップや経営層に「リスクマネジメント活動を単なるイベントとして終わらせるのではなく、継続して自社に根付かせたい」という意向が強くあったためです。この意向がニュートン・コンサルティングの提唱するリスクマネジメントの方向性と合致したことで、今回のプロジェクトでの起用につながりました。なお、ニュートン・コンサルティングが提唱する「BCP活動を効果的にする5つの鉄則」は以下の通りです。
今回のプロジェクトは2020年度から2025年度にわたる継続的なご支援でした。第1段階ではBCPの再構築と自走化に向けた訓練に注力。続く第2段階では、継続的な課題の解決に向けてニュートン・コンサルティングが伴走しました。
第1段階(2020~2023年度)では、トップインタビューにてプロジェクトの方向性を確認した上で、既存BCPの評価を通じて課題を洗い出しました。その結果、初動対応の運用面(ルール周知やBCP発動基準の整備など)に改善の余地があることが判明し、これを受けて文書体系の抜本的な見直しを行いました。具体的には、重要業務の再定義(BIA)を通じ「BCP基本計画書」を全面改訂したほか、意思決定フローを明確化した「指揮命令系統図」「災害時の行動指針」「自衛消防マニュアル」「災害対策本部マニュアル」などを整備し、初動の脆弱性を克服する土台を再構築しました。
併せて、これらの文書に基づく訓練も実施しました。2022年度には代替拠点としての対策本部訓練を東京および大阪で実施しています。東京では南海トラフ地震、大阪では首都直下地震をそれぞれ想定し、自拠点圏外で災害が発生した場合の災害対策本部の活動を検証しました。2023年度には前年度から続く大阪での対策本部訓練に加え、経営層向けの意思決定訓練も実施。現場に加えて経営層の対応力向上も図りました。これらにより、有事の際の体制・ルールの整備・訓練が一通り完了し、一定程度の自走が可能になりました。
続く第2段階(2024~2025年度)では、第1段階で洗い出された課題の解決と継続的な訓練に注力し、実効性の深化を図ってきました。特に、約10万人の派遣スタッフに関わる勤怠管理や給与支払いは、同社の事業継続において極めて重要かつ複雑な業務です。第2段階では、この給与支払いプロセスをより詳細に検証し、有事における判断・運用の実効性を高めていきました。
そのほか、本社対策本部の代行者の力量向上に重きを置いた訓練など、さらなる対応力強化に取り組んでいます。
本プロジェクトを牽引したのは、「いかなる有事であっても、スタッフの生活の基盤である給与の支払いは止めない」という経営トップの強いコミット意識でした。「人命の保護」および「給与の支払い」を有事における最優先事項と規定し、現場を巻き込んだアプローチを積極的に展開。訓練を行う際も、それぞれを「単発のイベント」で終わらせないことを重視し、参加者が訓練を通じてコミュニケーションを深めるとともに、訓練後に見出された課題や今後の対応について議論を重ねていきました。このように全社が一丸となって複雑なプロセスの見直しに立ち向かうことができたのは、経営トップが掲げる揺るぎない軸があったからこそです。結果として、ニューノーマル対応も含めたリスクマネジメント活動が全社的に深く根付いてきました。今後も社会情勢や環境の変化に応じたPDCAサイクルを回し、有事においても揺るぎない対応力を堅持するための取り組みを続けていきます。
| 名称 | 株式会社スタッフサービス・ホールディングス |
|---|---|
| 所在地 | 東京都千代田区神田練塀町85 JEBL秋葉原スクエア |
| グループ創業 | 1981年 |
| 事業内容 | 事務職、技術者、ITエンジニア、医療・介護分野、製造・軽作業・サービス分野の人材総合サービスを展開するスタッフサービスグループの経営管理、およびそれに付帯する業務 |
| 利用サービス | BCM/BCP改善・再構築支援サービス |
CStO 兼 エグゼクティブコンサルタント
坂口 貴紀
事業特性に寄り添い、真の「実効性」を追求した6年間。SSHD様の真摯な歩みに敬意を表して
スタッフサービス・ホールディングス様との約6年にわたるプロジェクトは、リスクマネジメントを専門とする私にとっても非常に意義深いものでした。約10万人もの派遣スタッフの方々の生活を支える「給与支払い」の維持。この極めて重い社会的使命に対し、我々は単なる一般論や他社の雛形を当てはめるのではなく、同社独自の事業特性や組織文化を深く理解し、最適な形を共に創り上げる「伴走」に徹しました。
これまで監査等の視点からも様々な企業の危機管理体制を見てまいりましたが、本プロジェクトにおける経営トップの皆様の強い覚悟と、現場の皆様の熱量は特筆すべきものでした。「机上の空論」を徹底して排除し、泥臭く実践的な訓練を通じてルールの「実効性」を幾度も検証・改善していくプロセスは、まさに同社ならではの強靭な組織風土の賜物です。
皆様の真摯な取り組みにより、現在、東京における意思決定フローや各種プロトコルは極めて堅牢な状態へと昇華され、見事な「自走化」を果たされています。この確固たる基盤と皆様の類まれなるチーム力があれば、今後本格化する「大阪本部代行機能の強化」という次なる高い壁も、必ずや力強く乗り越えていかれると確信しております。