事例紹介: 株式会社西尾硝子鏡工業所

株式会社西尾硝子鏡工業所 BCP策定プロジェクトメンバーの方々。BCPは業務改善の一環として策定。社員が自分のものとして感じられる取組を。西尾硝子鏡工業所 ロゴ

-事業内容を教えてください。

当社は硝子・鏡の加工卸と内装工事を主に行っています。硝子に様々な加工を施すことにより、様々な業態のお客様とお取引させていただいております。
商業施設で利用されるガラスケースやショーウィンドウなどが主な商品になります。

-今までの防災対策について教えてください。

株式会社西尾硝子鏡工業所 代表取締役 西尾 智之 氏
株式会社西尾硝子鏡工業所
代表取締役 西尾 智之 氏

当社は硝子という商品を扱っておりますので、工場の安全対策は従前より行っております。具体的には、倒れるような場所に置かない、決められた場所を利用するなどです。ただ商品に関しては落ちれば割れますので、むしろ社員が怪我などしないように、安全面での配慮を行っています。

-今回BCP構築に取り組まれた理由を教えてください。

今回東京都支援事業を知るまでは、BCPという取組自体知りませんでしたが、そういう考え方があるのであれば是非自社にも取り入れたいと考え、申込みました。当社は従前より見える化など業務改善を積極的に行っており、BCPはその一環という位置づけです。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

今回は硝子・鏡の加工卸を対象に水害に対するBCPを構築しました。当社のオフィスのある大田区は平地で、ゲリラ豪雨などにより急に洪水が発生する危険性が近年取沙汰されてきているからです。

当社の加工工程はほぼ機械化されており、海外の最新鋭の機械も導入していますが、ベテランの職人さんの経験に基づいた技術力がなければそれらの機械性能を十分に引き出せないという側面もあります。そのため当社では「デジタルとアナログの融合」とともに「技術の伝承、共有化」を目指し、1技術3人体制という方針を取っています。

各工程は基本的には手加工での代替が可能なのですが、中にはそれでは対応しきれない工程もあります。今回問題となったのは、手加工での対応が難しく、かつそこが滞ると先に進めないという重要な工程を担う機械が、実は工場内で一番低いところに設置されており、代替機の調達が難しいということでした。

そのため今回のBCPはこの機械が浸水したらという想定で、まずは浸水を防ぐ、浸水してしまったら被害を最小限に留めて素早い復旧に注力し、他の加工は手作業で対応するという事業継続対策を取ることに決めました。また、今回の被災シナリオでは比較的短時間に浸水してしまうという想定のため、事業継続対策と同様に、被害を最小限に留めるための素早い意思決定と初動対応も重要であると思っています。

【BCPの概要】

対象事業鏡・硝子の卸加工
対象リスク水害
被災シナリオ大田区内で中小河川の氾濫により、工場内が浸水し、重要な加工機械も浸水の被害を受けた。(水深50cm)
予防・低減策・加工機械を設置している床を上げることを検討する
・材料の在庫量の調整を検討する
事業継続策重要な加工機械(2台)の復旧に注力し、他の機械で行う作業工程については、手加工による対応とする

-苦労されたポイントを教えてください。

お恥ずかしい話なんですが、このBCPに対する取組自体を社員に理解してもらうことに苦労しました。今回のプロジェクトでは業務の都合上、現場の担当者の参加が難しかったため、どうしても私からの一方的な情報共有になってしまい、なかなか共感してもらえませんでした。

そこで演習では策定したBCPについて理解を深めるということに重点を置きました。工場全体の動きを時系列に理解することで、各自が自分の役割(優先して守るものは何か、そのためにいつ、何をすればいいか、等)を具体的に認識できたと思います。これを足掛かりにまずは従業員一人一人が納得感を持って意識を共有していくことから始めていきたいと思っています。

4月に予定している訓練では実際に水除けの土嚢を積む作業を社員に体験してもらい、さらなる意識改革を行う予定です。

-策定に当たって、何か気付きはありましたか?

株式会社西尾硝子鏡工業所 代表取締役 西尾 智之 氏

実際にシミュレーションをすることにより漠然と抱えていた不安が一つ一つの解決すべき課題として明確になりました。たとえば、水害に当社の重要な危機が耐えられるのか、ということについても、水深何cmであればどのような対応、何cmであればどのような対応が可能なのかということをメーカーに問い合わせて確認していきました。

一方で、詰まるところ、BCPも当社が従前より取り組んでいる業務改善と同様、個々人の意識の持ち方が重要であるということも強く感じています。きちんとしたマニュアルを整備することも大切ですが、それを使う社員の意識が変わっていなければ決して動くことはないでしょう。そういった意味では演習をはじめとして、社員と一緒に取り組むことで、会社の一部になっていくのだと思います。

今回は被災シナリオを水害に限定して策定していますが、他のリスクに対しても対応できる柔軟なものができたと感じています。

-取組を検討中の企業へメッセージをお願いします。

リスク対策に関しては、余裕のあるときにやるべきです。何かあった時でも決断をしなくていい仕組みが整備できているのは安心につながります。また、製造業において機械は付加価値を生む原点ですので、守る方法を整備しておくことが必要だと感じます。そうした取組を繰り返すことは社員の意識を高め、自社自体の付加価値にもつながると思います。

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役西尾 智之 氏
工場長西尾 清 氏
会社情報
称号: 株式会社西尾硝子鏡工業所
本社所在地: 東京都大田区大森北5-9-12
設立: 1932年7月
資本金: 1,000万円
従業員数: 21名
代表者: 代表取締役  西尾 智之
事業内容: 一般板ガラス・鏡の加工卸、内装工事
URL: http://www.nishio-m.co.jp/

(2011年1月1日現在)

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