-事業内容を教えてください。
当社は小型エンジン及びパワーツールの電装メーカーで、チェーンソー、芝刈り機、発電機、建設機械などの小型エンジン向けのイグニッションシステム、フライホイール、発電コイル、制御ユニットなど、電装部品を中心に最先端の技術を、国内はもとより世界中のエンジンメーカーのお客様に提供しています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
日本での独創的な新技術開発と、世界でも競争力の高い生産拠点を組み合わせることで、モノ作り企業としてのグローバルな競争力を高めることを目的に、生産活動を国内に加え、フィリピン・ラグナ、中国・広東の各拠点で実施しています。
こうした背景もあって当社のBCPは本来、グローバルな生産拠点に適することに大きな意義があるのですが、その足掛かりとして、まず基本的なBCPの作成・運用手順を習得することに重きを置きながら取り組みました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
国内向けのエンジン電装部品を製造している本社工場を対象としております。
東京湾北部地震による被災シナリオに対して、3日以内に通常生産量の20%を供給できるように事業継続対応を取るもので、次のような特徴があります。
まず、販売管理システム・生産管理システムが使えない場合には、既に出力済みの帳票データを参照しながら手書き伝票で対応します。次に業務に必要なスキルを有する者が出社できない状況の時には、BCPに規定された代替技能工リストを使用して代替要員を確保します。
また、各工程の設備資源の被災、停電による操業停止に対しては、複数の代替加工業者へ業務委託し対応します。最後に輸送業者や最寄りのサプライヤー業者による製造加工・輸送の代替手配を行う等の対策を実施し、事業を継続します。
【BCPの概要】
対象事業 | エンジン電装品(点火装置)製造 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・PC破損、OA機器の使用不能 ・CADデータ・生産管理データの消失 ・完成品20%、仕掛品20%、部品20%の破損 ・仕入・制作業者3社、流通業者の被災 |
対策 | ・基幹サーバのラックへの収納 ・重要データは外部データセンターで運用 ・機械設備の固定 ・棚からの治具・工具・製品等の落下防止 ・在庫(セーフティストック)の確保 ・外部製造加工業者・流通業者の確保 |
-何か新たな気付きはありましたか?
社内でBCPについての議論を重ねている際に改めて気付いたのですが、今回、各部門の責任者が集まり、それぞれ異なる立場から異なる意見を聞くことは非常に有意義なものでした。それは、何となく頭の中にはあって散乱していた情報を整理しまとめることができたからです。話し合いをしていくうちに各部・各社員の分担が明確になり、事業を継続するうえでのボトルネック部分が明瞭にわかるようになりました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
当社では、グローバル環境での成長や競争力を維持するためにも、海外の生産拠点にもBCPを展開したいと考えております。
最初の事業説明会の際でのお話のとおり「BCPはとにかくやってみて、それから直していく」という考え方で取り組ませていただきました。こういったものに取り組む際はなかなか進まないこともありますが、国内拠点を適用範囲にすることにより現地現物で確認しながら進められたので、海外生産拠点へのBCPの展開に一定の手ごたえを感じております。5ステップに沿って進めることで、BCPの全体像をつかむことができました。