-事業内容を教えてください。
弊社は昭和54年の創立以来、総合地質コンサルタント、建設コンサルタントとして地質調査・物理探査及び海洋調査技術を駆使し、お客様の多様なご要望に的確にお応えすることにより、社会の発展と安全・安心に貢献できるよう努力してまいりました。
これまでの業務の中で蓄積してきた多くの技術的経験とノウハウを駆使し、プロフェッショナル集団としての誇りと責任を持って、これからも技術で人と地球の未来に貢献できる企業を目指し、新しい課題にも積極的に取り組んでいきます。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
弊社は今年創業31年目を迎えます。そこでこれを機に100年継続できる企業を目指すために何らかの施策を検討しなければと思っていた時に、本プロジェクトのパンフレットを見て、早速申込みました。
また、今後様々な対策を検討する場合でも、何もないところから考えるより、何か指針のようなものがあれば、スムーズに検討が進むのではないか、何か形のあるものを作成し、それをきっかけにして様々な対策に着手していければとも考えました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
今回は地質調査業(地質調査・物理探査)をBCPの対象事業としました。
その理由の一つは、本事業が弊社の主力事業であるということです。もう一つは複数企業が役割分担をして行う建設工事などでは、工事開始前に行う弊社の地中調査が終わらなければプロジェクトが進まず、関係する企業の方々にご迷惑をおかけすることになります。このような事態を回避するために事業の素早い復旧が弊社の責任であると考えるためです。
また弊社の本社及び東京支店の所在地は、地盤が弱く、いわゆる海抜ゼロメートルの地域で、さらに目の前は運河という環境です。そのため以前から高潮や津波といった水害がとても怖いと感じていました。もしそうなった場合、押し寄せるのは海水であるという点もとても気になっていたため、地震も心配なのですが、まず水害に対するBCPから策定したいと考えました。
本事業に必要な経営資源としては人、装置・機器類、調査データ、車両等なのですが、弊社社屋の1階は倉庫であるため、今回は倉庫内の1m以下の場所に保管されている装置・機器類を中心に、その重要度や代替機の有無を考慮した対策を検討しました。
【BCPの概要】
対象事業 | 地質調査業 |
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対象リスク | 水害 |
被災シナリオ | 江東区内で河川の氾濫により、社屋が浸水 ・1階倉庫が1m浸水 ・機器類も水没し使用不能 |
対策 | ・倉庫内の配置の再検討 ・有事には主要な機器を2階に移動する ・他の支店或いは協力会社から必要な機器を借用し代替する ・緊急を要する案件の応札は他支店から行う ・複数の情報源からの情報を適宜収集する |
-何か新たな気付きはありましたか?
今回の被災シナリオでは、1階の倉庫内に保管されている装置・機器類を浸水する前に2階へ移動させることで、ある程度未然に被害を防ぐことができる可能性があります。
また、中枢事業の製造工程の洗い出しを行う中で、製造業でありながら大部分は社内情報システムが絡んでいることに気付かされました。システムがダウンした場そのためには大雨や台風といった天候に関する情報の適宜、迅速な収集と、それらの状況にあわせた判断基準が明確になっていることが重要であり、かつ大変難しいというこがわかりました。
ただ弊社は業務を行う上で天候などの情報をチェックしていることも多く、日常の業務の中に取り入れることは可能ではないかと感じました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
弊社社屋は賃貸物件であるため、電気・水道といった一番重要なライフラインの設備がどうなっているのかをまったく意識していませんでした。あって当たり前くらいに思っていたのですが、今回のBCP策定によってどうなっているのか関係各所に自分達で確認し、把握できるいい機会となりました。
今後は他支店、或いは他の災害についても広げていきたい、すぐにやれるかどうかは別にしても決まったことはどんどん進めていきたいと思っています。