-事業内容を教えてください。
当社は、ソフトウェア事業、受託開発事業、パソコン教室運営事業、コンテンツ事業、デジタルノベルティ事業などを展開しております。
ソフトウェア事業では、各種パッケージソフトの開発・販売をしており、受託開発では、企業様向けの経費精算システム(Androidアプリ)なども手掛けています。
当社の強みは、ソフトウェアの移植時に変更を加えて「軽くする技術」です。具体的には仕様変更・解像度の低下・プログラム再作成等で、これらは社長をはじめスタッフの13~14年の経験から得たノウハウであり、現在も日々研究を続けています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
全社的な安全管理、特に社員の安全確保のためには、BCPの策定が必要だと感じていました。装置産業とは大きく事業構造が異なり、人材への事業依存度が高いソフトウェア関連の企業では、災害時の対応の良し悪しが事業の継続性を左右します。
当社としてはいち早く取り組む事で競合との差別化を図っていきたいと考え、今回本事業に参加することを決めました。また、重要取引先への対応として、BCP策定の必要があったという背景もあります。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
今回は東京湾北部地震が発生した想定で、ソフトウェア事業を対象にBCPを検討しました。
当社の主要事業であるソフトウェア開発と受託開発の技術者は共通であり、開発内容によって技術者を割り当てて業務を行っています。とはいえメインの開発者は東京本社と仙台在宅であり、地震災害の場合の開発中断が事業に及ぼす影響が大きいことから、発災後3日目までに作業が再開できるように、人員再配置、設備(PC)手配、業務分担、外注依頼などを準備することで事業を継続することとしました。
ここでは少人数ゆえの機動力の高さを活かし、発災後すぐに被災状況を確認し、それに基づいて、納期や重要顧客などの事情をかんがみ、業務の優先順位づけを行った上で、業務の再開をスムーズに行えるようにしました。
【BCPの概要】
対象事業 | ソフトウェア開発事業 |
---|---|
対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・本社社屋は問題ないが、室内の棚の倒壊 ・PC、電話、FAXも全壊 ・外部サービス・開発会社との連絡24時間不通 ・作成中のプログラムがバックアップ含め、データ消失 |
対策 | ・多能工化 ・業務の見える化、マニュアル化 ・メール、プログラム情報の共有 ・機器の固定、配置見直し ・ノートPCの保管方法の変更 |
-何か新たな気付きはありましたか?
「災害に備える」「守らなければならない事業な何か」という極限状態を設定することによって、個別事業についての優先順位が明確になりました。こういった前提がなければどれも「重要な事業」であるとして、優先順位をつけることができなかったのではないかと思います。自社の事業全体を客観的に捉える良い機会となりました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
BCP策定直後(2011/3/9策定・避難訓練実施)に東日本大震災が発生したのですが、既に什器の固定やデータのバックアップなど必要な措置を終えた後だったため、大きな被害もなく、社内でも冷静に対応することができ、改めてBCPの重要性を認識しました。
特に今回のBCP策定から生まれた弊社の「安否確認」「自動位置通報」サービスについては、社内の必然性から生まれたものであり、世の中のすべての企業に向けて、使命感を感じつつご提案できるものと考えています。これは他に代え難い事業であり、高いモチベーションのもと社員一同取り組んでいけると確信しております。