-事業内容を教えてください。
プラスチックの機械加工及び板加工を行っています。一般的にプラスチック加工業者は機械加工か板加工のどちらかに特化しているものですが、当社は機械加工と板加工の両方に対応できることが特色です。特に板加工については職人の高い技術に裏打ちされたクオリティの高い製品を提供できると自負しています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
これまで特に防災対策は行っていませんでしたが、東日本大震災を機に考えたほうが良いのかなと思うようになりました。私は長年スカイダイビングをやっているので、いつ何時何が起こるかわからない、生死が隣り合わせにある、という感覚が染みついています。また、これは当社の自慢できる特徴の一つなのですが、社員が皆「クボプラは自分の会社だ」と思って責任感を持って働いてくれています。BCPを策定することで、どんな災害が起こっても大切な社員とその家族の生活を守る具体的な手立てにしたいと思いました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
今回は地震災害にあった場合のBCPを策定しました。
当社のBCP策定の目的は、いかなる災害が起きても社員と家族の生活を守り、安定した生活を実現することです。そしてその実現には顧客への影響を最小限にとどめ、事業を継続することが必要だと考えております。
被災シナリオから納期の遅れをできる限り短縮する必要性が発生すること、また人員不足による加工業務への影響が発生することを想定し、対応策を考えていきました。
納期遅れの短縮には、生産計画をつかさどる営業部の機能をいち早く立ち上げて、被災した製品や仕掛品の出荷計画を早急に立て直せるようにしました。
また被災による人員不足については、特に技術的に高レベルを要求される製品については外部に依頼することが難しいため、従業員が自主的に実施している朝練の成果が多能工化の実現にそのまま貢献すると考えております。
対象事業 | プラスチック機械加工 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・工具棚の倒壊/治工具の破損 ・生産設備の一部倒壊による破損/検査機器の破損 ・完成品と仕掛品の一部破損 ・サーバ、PC の破損 |
対策 | ・生産設備周りの整理整頓、一部生産設備の固定 ・バックアップデータの二重化 ・図面の運用方法の変更と徹底 ・多能工化の推進 ※自主的な朝練による技術習得機会の実施 ・ステークホルダーとの迅速な緊急連絡体制の構築 ・外注先の活用 ・外部検査機器の活用 ※人員の移動による現地対応 |
-何か新たな気付きはありましたか?
BCPを策定している最中にも大雨で社員が通常の通勤ルートでは出社できない、入院のため一週間程度出社できないなど、通常とは異なる対応が必要となる事象が発生しました。これらはまったくの偶然の出来事ですが、普段からBCPを考えて業務を継続するために備えることが大切だと改めて思いながら予防・低減策、事業継続策の検討を重ねることができました。地震などの災害発生時だけでなく、日常のトラブル発生時にも今回のBCP策定の経験を活かせるのではないかと思っています。
また、これまで防災計画等を社内で話す場合、アドバイスをくれる人もいなかったのでコンサルタントの支援を利用し適切なアドバイスを受け、知恵をお借りできたのは有難かったです。通常業務と並行してBCP策定を進めましたが、検討すべきポイントがわかりやすくまとまっていたので、通常業務でバタバタする中でもBCP策定のために何をしなくてはいけないのかが良くわかりました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
防災の備えが必要だとわかっていても行動に移すにはハードルが高いと思っていましたが、BCP策定の支援を受け行動に移す具体的なステップが明確になりました。
今回、想定した被災シナリオは正直厳しすぎるかな、とも思っています。でも厳しめに設定しておくことで最悪のケースが発生したとしても事業を継続するための対応をスムーズに実行できるだろうと思いますし、最悪のケースで考えること自体が訓練になっていると思います。