-事業内容を教えてください。
当社は、親会社であるクラスメソッド株式会社が行っている開発・コンサルティング・トレーニングの業務委託サービスにおいて発生した客先でのIT技術者派遣のニーズに対応できるITスキルを持つ人材を採用し、派遣するサービスを提供しています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
親会社のクラスメソッド株式会社にて、地震に対するBCPを策定しました。また東日本大震災の後、さらなる防災対策を進め、緊急用備品の備蓄をより一層充実させました。
今回は、当社の業態(人材派遣業として、様々なお客様とのお付き合いに際し、不特定多数の方々と当社スタッフが接する)に鑑み、新型インフルエンザ等への罹患を回避し、感染した場合であっても顧客の業務への影響を低減できるよう、いわゆるパンデミックに対するBCPを策定することにしました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
当社のBCPは、新型インフルエンザが流行し、従業員の約4割が罹患して業務ができなくなった状況でも、欠勤すると重大な影響の出る約3割の派遣先のお客様に対して、継続して人材が提供できることを目指しています。
このための事業継続策としては、代替要員の確保、業務の縮小・休止、時差出勤、在宅勤務等を実施していくことになりますが、お客様へ出向いている要員に関しては、基本的にはお客様の事業継続策に従うことになりますので、このあたりのところを事前に調整しておく必要があります。
少人数で業務を行う当社にとって、社員は営業、工場、事務のそれぞれに属人性が高く、いずれかが長期就業不可となると円滑な受託処理が困難になります。そこで、これらの社員が有事に行わなければならない処理の手順書を作成するとともに、平常時からお互いの業務の代行を実施し、災害時に代行処理ができるようにしていきます。
また当初はお客様へ出向いている要員が罹患した場合を被災シナリオとして、これに対する対策を検討していましたが、感染拡大の過程でどういう状況になるかわからないと感じました。ついては直接部門(派遣先のメンバー)が集中的に罹患した場合や、間接部門のメンバーが集中的に罹患した場合、その中間の場合等の複数のシナリオについても併せて検討してみました。
その結果、間接部門のメンバーが集中的に罹患した場合のほうが、お客様や派遣先のメンバーへの対応や支払への支障などのため、事業に対するダメージが大きいことがわかりましたので、こちらに対しては、親会社から代替要員を出してもらうことで、対応することにしました。
対象事業 | 人材派遣事業 |
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対象リスク | 新型インフルエンザ |
被災シナリオ | ・従業者の約4割が罹患 ・10日間出社不能 |
対策 | ・啓蒙活動 ・情報収集 ・感染防止策(手洗い、うがい、マスク着用の奨励もしくは徹底)の実施 ・代替要員の確保 ・業務の縮小・休止 ・通勤手段の変更・時差出勤 ・在宅勤務 |
-苦労されたポイントはありましたか?
苦労したポイントは、パンデミックは業務内外を問わず、ある意味、常に感染の恐れがありますので、どのレベルまで予防策を講じるか、また、講じないか、これは会社としての独自判断に依るところも大きく、当社における「適正な」レベルをつきつめることでした。そして、このような検討の中で、事業を継続できないことでいかに信用を失うか、改めて気付いた次第です。当社は、これまでは受付・入口・トイレ等、人の出入りが多い場所にアルコール消毒液を設置し、予防処置を行っておりましたが、今回のプロジェクトで、感染後の初動対応など、予防以外の処置を策定できたことに成果を感じています。
-BCPを策定した感想をお願いします。
当社スタッフがお客様にご迷惑をおかけしないことをゴールとした、身の丈に合うBCPを構築できたものと思っています。事前予防が大切であり、お客様とのお取引の際に、当社の労務面の取組をお伝えすることで、お客様との信頼関係をより強固にできるとも感じております。また、中小企業に該当する当社でもBCPを策定できましたが、このことが他の中小企業の励みになれば幸甚です。