事例紹介: 株式会社キュー・テック

株式会社キュー・テック 代表取締役社長 梶尾 徹氏

映像音声資産を守り
編集スタジオを早期復旧

株式会社キュー・テック ロゴ

代表取締役社長 梶尾 徹氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 情報通信業

-事業内容を教えてください。

当社は、映像・音声の編集技術を核とする総合ポストプロダクションです。ポストプロダクションとは撮影・収録されてきた素材をもとに、編集以降、完成までの仕上げ工程を担う業務で、当社は特にアニメーションを得意分野にしています。番組やDVDなどパッケージ向け作品の編集、DVD/ Blu-ray ディスク制作、配信用映像、デジタルシネマ/3D 映像制作等、様々な分野に展開し、これらを通じて皆様に高品質な映像と音をお届けしています。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

きっかけは東日本大震災です。幸いにも社員、社屋ならびに設備・機器等に大きな被害はありませんでしたが、災害発生時にどのように行動するのかといった基本的な部分をはじめ、対策がおろそかになっていることを痛感しました。これを契機に、いつ起こるかわからない災害に対し、万が一の備えとなる行動パターンのマニュアル化、社員の安全確保、そして被害状況に応じた復旧や、事業復旧までの時間短縮が図れるような計画を策定する必要があると考えました。何もないところからでしたので、専門家の支援を受けながら、そのノウハウを盛り込んだBCPの整備と運用を実現しようと考えました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

今回は当社の基幹事業である「アニメを含むパッケージ編集事業」を対象としたBCPを策定しました。この事業はお客様であるアニメ制作会社で制作された映像・音声データをお預かりし、当社の技術者が複数の映像編集機器を使って編集し作品を一本化、DVD/Blu-rayの元となるマスターを作成するというものです。事業の継続にはお客様からお預かりした映像・音声データや作業中のデータ、それらの制作に使用する機器や装置が必要となります。

その中でも映像・音声データは、お客様からお預かりしている資産であることから、破損・紛失を防ぐための予防・低減策に重点を置いてBCPの内容を検討しました。また、映像・音声データが収録されているマスターテープにおいては、テープレスキュー手順書を作成し、テープ破損状況の早期確認と早期修復作業を行うことにしました。

そして、本社の30余りの編集室/音声スタジオ/機械室と、各部屋にある映像・音声編集機器については、汎用性とコストの観点から優先的に復旧させる編集室を選んだうえで、機器・設備・ITインフラの災害予防対策を講じ、早期復旧策を策定しました。

対象事業アニメを含むパッケージ編集事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・サーバが停止、光ファイバー一部断線
・半数のPCモニター落下
・映像・音声資産のうち、作業中データの一部破損
・テープ落下、一部破損
対策・オフィス/編集室内の安全確保と行動指針の策定
・テープ棚の転倒防止/テープの飛散防止
・テープレスキュー手順書の作成と訓練の実施
・VTR 機器格納ラックの転倒・飛出し防止
・バックアップのノートPCによるテープ管理処理の代替
・主要編集室・機器の優先復旧
・技術・編集部門の連携による編集業務の早期再開

-何か新たな気付きはありましたか?

現場検証では、多種多様の被災の可能性が顕在化し困惑しました。それを受けて各階ごとに対応策を整理し、優先的に復旧させたい編集室を決め、予防・低減策を立てました。また多数の帰宅困難者が出ることが予測されるため、これから備蓄・宿泊などの対応策の整備に取り組みたいと思います。

BCPに取り組む前は、何か起こった場合にはその場その場で対応できるだろうと考えていましたが、被災シナリオという疑似体験を通して様々に検討を重ねていくと、あらかじめ取り決めをしておくことの必要性を痛感しました。。

-BCPを策定した感想をお願いします。

有効なBCPはトップマネジメントが重要になりますので、各部門責任者をリスクオーナーに任命し取り組みました。各メンバーにはその必要性、そしてリスクオーナーとしての自覚を感じてもらえたと思います。今後は策定した実行計画を着実に実行に移し、そして継続的に運用していくことで社内に浸透させていきたいと考えています。

株式会社キュー・テック BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長 執行役員梶尾 徹 氏
常務取締役 執行役員伊藤 暢啓 氏
取締役 執行役員青貫 幹夫 氏
取締役 執行役員古迫 智典 氏
執行役員松下 和敏 氏
執行役員達富喜美男 氏
総務部長中村 政人 氏
総務部員藤本 佳枝 氏
会社情報
称号: 株式会社キュー・テック
本社所在地: 東京都港区赤坂6-14-15
設立: 1989年4月
資本金: 9,000万円
従業員数: 200人
代表者: 代表取締役社長 梶尾徹
印刷業: 録音、録画、デジタルデータ記録物等の原盤の企画・制作、収録・編集、
プログラミング、製造、販売、賃貸等
URL: http://www.qtec.ne.jp

(2012年3月末日現在)

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