-事業内容を教えてください。
当社はバーチャルリアリティや3次元構造物解析などの先進ソフトウェアと、豊富な実績を有する設計支援・CADソフトの開発・販売・サポートを行っている独立系ソフトウェア企業です。土木、建築、交通、自動車分野など海外も含めて精力的な展開を行っています。今後もアイデアと技術力を武器として、国内外で皆様のご期待にお応えできる企業を目指してまいりたいと考えております。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
当社が今後の営業戦略上、重要な事業であるバーチャルリアリティを活用したソフトウェア開発を推進するためには、BCPの策定は不可欠であると考えました。例えば、経済産業省の業務を受けるに当たり、BCPやプライバシーマークなどの目標設定があります。また、本事業はクラウドコンピューティングを活用しており、他社の資源に依存することから、情報の取り扱いなどの基本的な対応を身に付けておく必要があります。会社組織的にも、東日本大震災における経験を踏まえ、災害に強い体制作りが急務と判断したことも大きな要因となりました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
BCP策定の対象であるパッケージソフトの開発・販売・サポート事業の中でも、サポート業務は自社で独自開発したパッケージソフトを購入し、日々利用してくださっているお客様からの問合せ、相談等の対応をしています。そのため本業務の停止はお客様の業務の停止につながりますので、早期復旧することが重要になります。
お客様からの問合せ電話、メール対応は他拠点で行っているので首都直下地震では影響はありませんが、プログラミングに関わる内容のものやカスタマイズなどのご依頼は、東京での対応が主となることから、東京で従業員が帰社した金曜日の夜中に地震発生という被災想定でBCPを策定しました。
サポート業務については通信が確保できれば事業継続が可能であるため、サポートチームのメンバーが通信可能なエリアへ移動(場合により大阪支社)することにより事業を継続させますが、どんな問合せの内容にも対応できるよう、平常時からの人材育成が必要であることがわかり、今後取り組むことにしました。
対象事業 | パッケージソフトの開発・販売・サポート事業 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・施設は一部損壊 ・本社サーバ全損、PC:5割破損 ・本社重要情報:全損 |
対策 | ・社員の教育訓練を含む人材育成 ・社内設備の固定、配置の検討 ・キャビネットの内容の検討 ・サーバのバックアップ体制の確立と実施の徹底 ・在宅勤務体制の確保 ・地域(大阪支社、宮崎支社など)への移動を含めたフレキシブルな仮体制構築 ・他部署との協力体制 |
-何か新たな気付きはありましたか?
当社では、各部門長(グループ長)がその担当部署を掌握、問題が生じた場合には対応策を役員に相談し、指示を仰いだ上で適宜対処していくことになっています。この問題発生時の流れは、通常時には何ら支障なく機能していると考えられますが、その大前提として、人的資産、通信網、インフラなどが正常に機能していることが不可欠です。
今回のBCP策定業務を通じて、東日本大震災のように、本来機能しているものがまったく機能しない状況の中で、会社組織が個々人に対して、具体的に何を望み、どう対処すべきなのかが明確になっていない、もしくは個々人に理解されていないことが浮き彫りになりました。また、個人的には危機感を持っているものの、行動プランがまったく具体化されておらず、初動体制をはじめ、時々刻々と変化していく状況に対して、明確な対応方針を用意できていない場面が多々あり、認識の甘さに愕然とした次第です。
社員全員に、BCP活動の理解を得ることは無論のこと、個々人がBCPに従って、冷静かつ臨機応変に行動できる体制作りとBCP策定の重要性を改めて認識しました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
UC -1開発第1グループを対象に、被災直後の初動体制、事業継続復旧活動について、時系列的にシミュレーションを実施し、BCPが正しく策定されているかを検証することで、BCP策定の理由、根拠、問題点が明確になり、その重要性を理解することができました。継続的な活動を行いBCPを昇華させていきたいと考えています。月並ですが「継続は力なり」ということで、全部署を対象としたBCP策定の横展開を行いたいと思います。