-事業内容を教えてください。
私どもは自社倉庫と物流システムを活かしたトータルソリューションをご提供させていただいております。預荷保管、文書保管、作業スペースレンタル、キッティングサービス及び、これらに付随した運送業務を営んでおります。都内には、平和島、大崎など倉庫を5つ有しており、それらを拠点とした都市型物流サービスを私どもの強みとしています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
お客様から大切な荷物をお預かりし、それに伴うサービスをご提供しておりますので、平常時より棚の転倒防止や荷崩れ防止等を行い、また消火器の設置場所を掲示するなどして荷物や商品の保全に努めてまいりました。しかし災害時における配送事業の復旧・継続について、具体的なイメージはできていませんでした。
また、お客様からBCP策定について尋ねられることも増えてきたため、お客様からいただいている信頼の維持、自分たちの対応力の向上と生き残りのためにBCPを策定したいと考え応募しました。このBCP策定の実績をお客様にアピールしていければとも考えています。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
当社は都市型物流サービスのアウトソーサーとして、今まで培ってきた知見や専門性を活かしてお客様の様々なニーズにお応えしております。なかでも大手複合機メーカーの保守部品の保管と東京23区内への配送に関しては、部品の選定や在庫調整等の経験に基づく的確な判断、さらに迅速な配送ノウハウを強みとしてお客様の物流を包括的に担っております。従って当社が負っている責任は大きく、万が一事業が中断した場合には、メーカーをはじめ、エンドユーザーの皆様にも大変なご迷惑をおかけしてしまいます。また当社が扱っているサービス部品は公共性が高く、自社としても重要なお客様であるため、今回のBCPの対象事業としました。
本事業に必要な経営資源としては主にトラックとドライバー、部品、情報システム等で、これらが被災した場合について具体的な対策を検討しました。特に速やかな対応が必要となる外部配送業者との事前協定や、部品の供給などについてお客様であるメーカーとの確認を行うことが必要だと認識いたしました。また、外部配送業者が機能しない場合の対策などについても検討することができました。
対象事業 | 複写機等のサービス部品の緊急配送事業 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・作業要員、ドライバー不足 ・PC・ファクス破損、NW専用線輻輳 ・保守部品の仕入れ入庫受入の遅延 |
対策 | ・お客様との非常時対応の事前協議 ・荷棚固定化、預荷落下防止等預荷の保全対策 ・外注配送業者との協力支援体制の構築 ・他拠点(倉庫、本社など)からの人的バックアップ ・紙媒体による在庫データ、ロケーションデータの確保 ・他拠点からの自社配送の実施(外注配送能力が不足の場合) |
-何か新たな気付きはありましたか?
BCPを策定する中で当社のサービスや強みを支える経営資源、また事業の継続のために維持すべきものは何かの可視化ができ、私どもにとって付加価値の高い策定内容となりました。対策の検討も、事業継続に対するリスクのイメージを具体的に想定することができたため、問題点の発見や対策の検討がわかりやすくなりました。
また、災害時のフィールドサービス活動や工場からの保守部品供給について、お客様との話し合いを行い、私どもだけで対応できること、お客様のご協力が必要なことを明確にした上で相互の建設的な検討へ今後、こまを進めたいと思います。
-BCPを策定した感想をお願いします。
倉庫業界でのBCPの普及はまだまだこれからだと思います。今回BCPを策定してみて、事業を継続するために何を守り、何を維持するのか、また想定する事態に対してどう対応していくのかということについて認識ができ、さらに新しい視点から業務を見直すこともできました。
そして物流によって社会インフラの一環を担う私どもの業界にも、BCPは不可欠なものだと実感致しました。今後は社内への教育だけでなく同業界への普及にも尽力していけるよう策定を継続していきたいと思います。