-事業内容を教えてください。
当組合は、測量業を中心に事業を営む中小企業組合員13社(平成24年2月現在)からなる官公需適格組合であり、東京都区や中央官庁から中小企業単体より高いランクで格付けされています。組合傘下の総社員数は277人であり、多種多様な資格者が在籍しております。主な経済事業としては、共同受注事業があります。単体企業では参加が難しく規模の大きな案件に組合が入札参加し、落札した場合は組合が契約元となり、受託した業務を組合員に配分します。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
2007年新潟県中越沖地震発生後の「全国測量設計協同組合情報交流会」において、新潟地域を活動拠点とする組合からBCP策定の必要性の声が挙がりました。これを契機として組合は2009年より事業計画に「BCP策定」を盛り込んできましたが、取組が思うように進まない中、東日本大震災が起きました。組合事務所ではキャビネットが倒れ、プリンターが落下するなどの被害が発生したことから、災害時でも団結して早期に事業を復旧し、測量業者としての期待に応える必要性を強く感じた次第です。今回の東京都BCP策定支援事業を知り、この機会を是非活用したいと組合員に参加を募り、希望した4社と共に参加することを決めました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
BCP策定によって、非常時に緊急時支援要請の早期受入れなど、社会的貢献に即応できる組織であることを発注機関を含め広く社会に認識してもらうことを目的の1つに掲げています。そのためには、組合事務所が災害時に健全に機能することが大前提となるため、組合と組合員が連携できる対策を決定しました。
組合が各組合員の人的、物的被災状況を早急に取りまとめ、組合内での相互扶助の調整を行うなどして体制を立て直すことに重点を置いています。
この仕組みを基に、被災地域の緊急時支援要請に共同で、できる限り力を結集して対応することを決めました。
また、共同受注案件の遂行を即時に再開できるよう調整します。これらの合意を今後も継続していく意思の表れとして、組合と全組合員との間で、新たに「事業継続計画に関する協定書」を締結しました。また、組合が大きな被害を被った場合に備えて他地域の測量組合との「広域応援協定」の締結も推進しています。
対象事業 | 共同受注契約業務、緊急時支援業務 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・組合員会社の火災1社 ・測量等機器・PC・プリンターの破損 ・調査データの損失 |
対策 | ・携帯メールによる組合緊急連絡網の整備 ・施設内の耐震策の強化 ・防災協定の締結(組合内及び他組合間) ・組合員の被災状況の迅速な把握 ・相互扶助の精神と組合協定に基づく組合員間の相互支援(人・機材・資材) ・防災協定に基づく他組合からの応援 |
参加企業 | 新栄測量設計㈱、㈱東邦地形社、㈱中央ジオマチックス、㈱双葉 |
-何か新たな気付きはありましたか?
組合事務局に時間的な余裕が無く、討議と文書作成の時間を確保するのに苦労しました。5回の集中的な検討で組合事務局と組合員4社のBCPを同時に策定でき、ありがたく思っております。さらに、組合と組合員間における相互扶助活動についてBCP策定期間中に合意されたことを受けて、「事業継続計画に関する協定書」の締結について理事会で検討を進めました。その結果、全組合員が参加した協定が成立したことは、BCPの有効性を高める上で大きな前進となりました。BCPの持続性の観点からも良かったと思います。
また、組合と組合員4社が合同で実施した演習が非常に効果的だったと思います。参加者全員がBCP策定内容をお互いに学び、理解を深め、多くの改善の気付きを得ることができました。BCPを共同で策定したことにより、組合・組合員間のコミュニケーションが強化され、また一体感が大きく盛り上がったことも大きな成果だと思っています。
-BCPを策定した感想をお願いします。
策定すべき項目について短時間で、具体策を判断・決定していくことは困難を伴いましたが、自分たちの実情に合ったBCPを策定できたことに大きな誇りと自信を持つことができました。首都圏広域被災の場合は、組合単独での取組にも限界があります。今後は全国の組合と調整し、「広域応援協定」締結を拡大し、災害発生時に社会貢献できる体制を強化していく所存です。