事例紹介: 社団法人東京都トラック協会

社団法人東京都トラック協会 専務理事 綿引 正明氏

緊急物資輸送要請に応え
市民の生活を守る

社団法人東京都トラック協会 ロゴ

専務理事 綿引 正明氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 団体

-事業内容を教えてください。

東東京都の運送事業者の団体として、会員事業者の事業の発展に資するとともに、都民・利用者へのサービス向上対策、交通安全対策、環境対策等「社会との共生」を図り、トラック輸送産業が発展していくための諸事業を展開しています。具体的には環境対策事業、交通安全対策事業、輸送サービス向上対策事業、経営基盤向上対策事業、緊急輸送対策事業等です。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東京都トラック協会は、「災害対策基本法」に基づく「指定地方公共機関」として東京都に指定されています。東京都との「災害対策用貨物自動車供給契約」の締結、緊急物資輸送訓練の実施、情報連絡体制の整備等により災害発生に備えてきました。また、都内には緊急輸送司令室をはじめ緊急輸送要員の待機所などの施設を整備しています。東日本大震災でも東京都の要請を受け、救援物資輸送を行い現在も継続しています。過去に幾度も緊急時の対応を行ってきましたが、いずれも東京圏は被災していませんでした。そのため首都圏で、特に夜間・休日に発災した場合の対応に不安があり、今回参加しました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当協会は災害時には、東京都から緊急物資輸送の要請を受けて、支部を経由し、会員事業者から車両等の手配を行います。広域輸送拠点や備蓄倉庫等から、物資を緊急輸送拠点や避難所等に緊急輸送するという役割を担っています。その要請に迅速に応えるためには、人員と通信手段の確保がキーとなりますので、通信手段として衛星電話や緊急回線の確保等、複数準備しています。
しかし、夜間・休日に発災した際の対応は、これまで検討してこなかったことから、今回は被災シナリオを夜間の発災、主拠点である総合会館に職員がいない想定にしました。すると社会インフラ停止状況における職員の参集と主拠点に参集できない場合の通信手段に問題があることがわかりましたので、これに対しては協会の4 支部を緊急時の参集拠点と定め、職員の自動参集体制構築や、緊急時の通信手段の強化(衛星携帯電話の幹部への配備等)も実施することにしました。

今回のBCP策定のなかで、実際に緊急物資輸送を担う会員事業者が、素早く事業を立ち上げることができるよう、事業継続能力を高めていくことが最も重要な課題であることを、改めて痛感しました。

対象事業緊急輸送対策事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・平日夜間の発災(協会職員は帰宅後)
・協会職員の出社困難
・支部、会員事業者との通信一部停止
対策・協会職員の自動参集ルール(参集拠点含む)策定
・施設内耐震性強化、自家発電装置の対象機器見直し
・通信手段の多重確保(総合会館以外)
・緊急輸送連絡メモの定期的更新と行政などが実施するの訓練への参加
・別拠点(支部)参集職員は当該支部で緊急輸送業務に従事
参加企業 七幅運送㈱、多摩運送㈱、結城運輸倉庫㈱

-自社で策定したものとの違いは?

当協会では、緊急輸送基本計画をはじめとして必要な要綱・要領を策定済みであり、「緊急輸送連絡メモ」として携帯可能な手帳形式の冊子を毎年8月に更新・作成し、関係の役員・職員に配布してきました。東日本大震災時の対応も含め過去、行政の要求レベルを満たしてきたとの自負はありました。

今回の検討では、協会としての非常事態への対応能力を再点検できたことが良かったと思います。協会施設の震災対策、自家発電装置の活用、通信手段、職員の総合会館への参集イメージと緊急輸送対策本部の速やかな立ち上げの要件や問題点の把握と対応策の検討ができました。
一方で、さらに対応能力の完成度を高めようとするとコストがかかることもわかりました。また、今回のBCP策定を契機に、さらに職員のモチベーションの高揚を図っていきたいと思っています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

最重要課題であると認識した、会員事業者の事業継続能力を高めていくために、今後下記の行動を取っていきたいと考えています。
● BCP 策定支援事業への参加会員事業者との事業継続計画の情報交換・交流会の開催
● 協会の緊急輸送システム検討委員会で詳細を報告し、会員事業者への啓発と情報発信
また、現在行政において「災害に強い物流」の検討が行われており、当協会としても必要な情報発信を行い、対応能力を一層強化していきたいと考えています。

社団法人東京都トラック協会 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

専務理事綿引 正明 氏
常務理事五十嵐 優 氏
総務部企画課 課長武信 雅之 氏
総務部企画課森田 和士 氏
会社情報
称号: 社団法人東京都トラック協会
本社所在地: 東京都新宿区四谷3-1-8
設立: 1966年10月
資本金: 98億円
従業員数:60人
代表者:会長 大髙一夫
事業内容:都民・利用者へのサービス向上、交通安全、環境、緊急輸送等の各対策事業
URL: http://www.totokyo.or.jp

(2012年3月末日現在)

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