-事業内容を教えてください。
練馬区に本社を置く測量、設計・調査業務を生業とする会社が集まり、昭和53年に「練馬測量業協同組合」として発足し、平成24年2月現在15社が加盟しています。官公需適格組合として地元の練馬区から受託(共同受注)した測量業務を、傘下の組合員15社に配分・管理を中心とした事業を展開しています。また、測量以外にも区民の安全・安心パトロール事業に協力しています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
これまでは特に対策などは行っていませんでしたが、同業者で独自に『事業継続計画』を作成したという話は聞いていました。当組合では時期を見て始めればいいだろうと先延ばしにしていましたが、東日本大震災で練馬区が支援している宮城県亘理町の被災状況を見て愕然となり、日頃お世話になっている地元の方々のお手伝いをするためにも組合・組合員が存続していかなければならないと痛感しました。そこで理事会の了承と、傘下の組合員3社の協力を得て東京都のBCP策定支援事業に申し込みました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
練馬区では都及び区の努力もあり水害対策は大分進んでいるため、今回は迷わず地震を想定したBCP策定に決めました。
組合では組合員相互扶助に基づく支援を行うことをモットーとしており、すべての組合員と組合の被災状況情報の共有が災害発生時の対策の第一歩と考えました。このためにまず「安否・被災状況連絡フォーム」を作成し、相互にそれぞれが確認した結果を連絡します。
それを受けて次に、組合が練馬区から受託した共同受注業務の作業を再開するために、各組合員からの被災状況をまとめます。そして、被災した組合員の要請に対して、人員や機器の貸し出しなどの応援が可能な組合員の調整を行い、対応することにしました。
さらに、区の緊急支援の要請に対しては組合員の力を結集し、対応するための対策を立てました。
今後は、関東地区の当業種・官公庁適格組合で組織する「関東地区測量設計事業協同組合」との間で災害時の応援支援協定を締結し、より強固な対策を講じていきます。
対象事業 | 測量の共同受注業務 |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・理事長は不在で連絡不可 ・副理事長が軽傷 ・事務所内は棚、パソコン1台が転倒して書類は散乱 |
対策 | ・キャビネットなどの転倒防止策の実施 ・バッテリー、発電機による電源確保 ・組合と組合員間の緊急連絡網の早期策定 ・副理事長(事務局長・管理課長)による代行 ・整理整頓、作業スペース確保後業務再開 ・組合員安否・被災状況確認、応援可能会社メンバーにてチーム編成後各社に派遣 |
参加企業 | 関測量事務所㈱、㈱測技社、㈱新発設計 |
-苦労されたポイントはありましたか?
当組合のような業態は日常、現場・フィールド作業を行う人、作業台で図面と向き合っている人、あるいはPCで図面を描く人など、様々な場所、形態の仕事をしています。また、道路上での作業もあり、今まではしいて言えば交通災害くらいしか想定をしていませんでした。
地震は発災時間、場所、規模も想定が難しく、これまでなら「想定外」で済まされたことを、いかに対応できるようにするかを考えることに苦労しました。まずは自らの安全確保を行い、家族、同僚などの安否の確認ができてはじめて次の行動に移れます。これを可能にするためには今後の訓練に次ぐ訓練が最も重要であることが、演習を通して実感できました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
練馬測量業協同組合が将来にわたり存続するためには、まず組合員の存続が第一条件です。組合が存続していれば発災時には全組合員が相互扶助の原則に立ち返り、練馬区をはじめとするお客様のお手伝いができると確信しております。これはまさに「組合の使命」と言えますし、日常の業務に対しても積極的な取組を実践することを表明したことにつながります。これこそが、組合、組合員の存在価値を高めることになります。