事例紹介: 株式会社朝田商会

株式会社朝田商会 常務取締役 真田 稔也氏

社員・家族の安全確保と2工場体制で
エネルギー供給責任を果たす

株式会社朝田商会 ロゴ

常務取締役 真田 稔也氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

当社の事業は石油製品製造販売と産業廃棄物処理で、売上構成は約7:3となっています。産業廃棄物業界には中小企業が多いですが、当社は廃油リサイクルを中心に事業を展開しており、業界では中の上の規模です。当社の優位性は、東京都内に中間処理工場を持っていることと海に面した油槽場を持っていることで、これを利用して東京都や国土交通省、防衛庁等の廃油回収、都内事業所の緊急対応用燃料の備蓄、外国船からの廃油回収等の業務を行っています。また航空機燃料を処理する特殊な設備を保有しているため、ナフサ(粗製ガソリン)を含んだ航空燃料を処理することも可能です。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

当社は、タンカー座礁、オイル流出等の海上災害の際には江東区等に協力を行う災害時協定を結んでいますが、地震等の災害については、東京都内にある石油の移送基地として、廃棄物処理や再生重油の供給業務をいかに継続するかという対策を講じる必要性を感じていました。どのようにBCPに取り組むべきかと考えていた折、全国オイルリサイクル協同組合から東京都BCP策定支援事業の紹介があり、早速参加することにしました。

廃油処理事業は創業者が始めた事業ですが、最近では共助の事業として業界の社会的認知度も高まっています。当社も徐々に企業としての体制が整いつつある段階ですが、まだまだ十分ではない面もありますので、企業の中身を充実させる機会にもしたいと思いました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

主力事業で将来性が高く、組合との連携を要請される廃油処理事業と再生油製造販売事業を対象事業として選択し、江東区若洲にある東京油槽所を対象としました。重要業務としては顧客からの早期復旧ニーズが高い廃油回収、再生油製造、及び再生油出荷に関わる業務を取り上げました。また、組合との共同受注に関わる業務も優先して行います。

重要業務の遂行のためにはドライバー兼作業員・業務社員・所長等といった人員、廃油の入荷及び再生油の出荷のための入出荷設備、再生油の生産のための製造設備が必須です。これに対して、一部社員の出勤困難、計量器の破損、製品の漏えい、配管やタンクの破損及び油漏れといった被災状況を想定しました。

まず二次災害防止のため、即座にタンクの元バルブを閉止するとともに情報収集を行い、自社保有の資機材を用いた仮設配管によって破損したタンクを応急修理し、稼働可能要員によって在庫の出荷に当たります。平時より再生油の在庫は1か月分確保してあります。被害の状況によっては当社の主工場である関宿工場にて業務を代替します。

共同受注については、組合事務局が機能停止した場合に代理本部としての機能を即時に発揮できるように共同受注マニュアルを理解し、日々意識して業務を行うこととしました。

対象事業廃油処理事業、再生油製造販売事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 一部社員の勤務困難
・ 計量器の破損・製品の一部漏洩
・ 配管の破損・油漏れ・タンクの破損
予防・低減策・ 緊急地震速報警報装置の設置
・ 自宅での耐震対策の啓蒙
・ タンク・配管の定期点検
・ 再生油在庫の1か月分確保
代替策・ 稼働可能社員による代行(ドライバー兼作業員による業務処理等)
・ 自社修理と社員での応急対応(仮設配管での入荷、積込み)
・ 元バルブ閉止等の応急対応

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

当社は危険物を扱うため、社員の血液型等の情報を記録してありましたが、これを機に住所や家族構成等の情報まで調査しました。社員の家族の人命を含めた安全の確保まで行うのが、あるべき経営のあり方と思うようになり、勉強になりました。

災害後のエネルギーの需要増の可能性に備えて、供給のための最低限の体制ができて良かったです。当社は地理的に東京の先端に位置し、有事においても陸海の物資の基地として安定供給を求められますが、BCPができたことによって、対外的な信頼感、評価を得られると期待しています。また、災害時には一工場だけではなく、千葉のもう一つの工場から製品供給できる点も当社の強みであることがわかりました。

-BCPを策定した感想をお願いします。

本社と工場の面々が顔を合わせて、各々知恵を出し合うことができたのは貴重な経験でした。労使の信頼感の確立にも役立ったと思います。

当社では社員を人財と考えているため、自宅の耐震化についてのアンケート調査も行いました。各社員には防災器具も貸し出し、人財を守っていきたいと思います。日頃の業務ではタンクローリーに登る等の高所作業の危険についてはあまり意識されていませんでしたが、今後は補助柵等を設置するなど危険予測を徹底していく必要性を感じました。

今回、BCP活動の年間計画も作りましたが、これで終わりにするのではなく、着実に実施していくことで団結力、愛社心に結び付け、社内の他拠点や他部署に展開していきたいと思います。

株式会社朝田商会 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

常務取締役真田 稔也 氏
取締役 労務安全部長真田 佳明 氏
営業企画課長真田 康志 氏
常務取締役 東京油槽所長加藤 誠一 氏
環境工事課課長中川 宏司 氏
関宿工場業務課長小林 寛史 氏
エコ営業課長矢野 高男 氏
会社情報
称号: 株式会社朝田商会
本社所在地: 東京都千代田区丸の内3-4-1
設立: 1951年2月
資本金:7,500万円
従業員数: 50人
代表者: 代表取締役社長 真田 一伸
事業内容:廃油処理、再生油製造販売、石油製品販売の各事業
URL: http://www.asada-shokai.co.jp

(2012年12月末日現在)

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