事例紹介: エレクター株式会社

エレクター株式会社 管理本部 執行役員 本部長 平賀 健三 氏

フード業界・病院関係への出荷と保守を
スキル共有で継続

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管理本部 執行役員 本部長
平賀 健三 氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

私たちは、昭和41年以来、米国インター・メトロ社との業務提携により、ステンレスめっきを施した細いスチールワイヤーを使った業務用シェルフを製造・販売しております。主な販売先はホテル・フード業界をはじめ、病院・介護、工場・理化学、物流の4業界と一般消費者向けのホームユースを加えた5カテゴリーに分かれており、これによって幅広く各業界に製品を行き渡らせることができると同時に、一つの業界に絞ることによる事業リスクを分散することにも一役買っています。

商品はスチール線材の4面解放のため大変通気性に優れ、埃もつきにくいクリーンな構造であり、デザイン性、機能性、耐荷重性、耐久性、組み立てやすさという特徴があり、長年にわたって多くの支持を得ております。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災時の反省がきっかけです。当日は帰宅困難者が5、6名発生しましたが、安否確認連絡も滞りなく行うことができ、また最低限の食糧も確保することができました。何より負傷者を出さなかったことは不幸中の幸いでした。一方で被災後の初動対応については場当たり的でまごつくこともあり、改めて日頃の訓練や手順・マニュアルの整備の必要性を痛感しました。さらに、競合相手の東北工場や茨城の仕入先企業が被災してしまったことを目の当たりにして、もしこれが自社だったらどうなっていたことかと改めて危機感を強くしました。

東京湾北部地震の脅威に対しては、今期(平成24年10月~平成25年9月)の単年計画の中には、経営企画室・総務人事グループの共同目標としてBCP策定を掲げており、これも今回の取組のきっかけとなっています。東京都BCP策定支援事業に参加した取引先から直接紹介され、参加するに至りました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

対象事業はフード関連事業とし、なかでも業務用スチールワイヤーシェルフと、病院や医療施設で使われる温冷配膳車の2商品の保守を重視することにしました。当社製品として歴史があるワイヤーシェルフは顧客数が多く、業績貢献度も高く、また温冷配膳車は当社の今後の新しい市場を担う位置づけのためです。

ワイヤーシェルフについては、受注済商品の納入時期・出荷状況についての問合せ対応及び出荷が重要業務になります。また配膳車については、メンテナンス依頼の修理を受付け、社内外への作業割振り、委託業者への連絡及び修理の実施が重要業務です。

これらの業務に必要な経営資源としては、営業及びメンテナンスグループのメンバーと、受発注に関する情報システム、PCおよびサーバで、それぞれ出社率の低下、PC等の破損、情報システムの非稼働という厳しい状況を想定しました。

対応策としては、人材面では、受注や出荷手配ができる人材を増やすためのスキルの共有化、この業務の経験がある人材の他部署からの参集、応援体制の整備を検討しました。情報機器の破損については代替機を準備し、情報システムの非稼働については、IT保守会社との契約見直しまたは再契約、さらにプリントアウトした受注票・仕入先・納品先等の情報を管理・更新する仕組みを作ることにしました。

対象事業フード事業(ワイヤーシェルフの顧客応対)他
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 出勤率低下、帰宅困難者多発等の人的被害
・ 複合機・プリンター等の故障等の設備・機器損害
・ PC70台中5割の破損・使用不能、サーバ非稼動等の情報システム損害
予防・低減策・ 事前教育により多能工化し、対応力アップをはかる
・ 棚・複合機等のアンカー・ボルトによる固定化
・ サーバ免震ラックの設置
代替策・ 受注や出荷手配の経験者の招集など他部門からの応援
・ 代替機の準備または購入による受注業務の継続
・ 印刷した受注票や連絡先リストによる緊急連絡対応

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

業務プロセスを見直すことで、各部門がどのように関わりをもっているのかを相互に理解し、共有することができました。そして同時に、情報資産がいかに重要であるか、ネックとなるプロセスはどこなのかといったことも改めて認識できました。また、各部門でBCP策定に必要な資料が実はすでに作成されていたことがわかり、日頃の社員の問題意識の高さに思わず頼もしさを感じる場面もありました。今後は、自部門の目線からだけでなく、経営的な高みから業務を俯瞰できる機会を作ることで、仕事やコミュニケーションのやり方を変えていける可能性を感じています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

社員の生命と安全を確保することが事業継続の原点だということを再認識できました。また人命に関わる判断をつねに求められることから、意思決定者のトップが参加できなくても、それに近い判断ができる者や、そのような判断を近い将来担う者が参集することが大変重要だと思いました。

今後は我々策定メンバーの使命として、策定したBCPの有効性を維持できるように訓練や演習を積み重ね、決意も新たに取り組んでいこうと思います。

エレクター株式会社 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

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プロジェクトメンバー

管理本部 執行役員 本部長平賀 健三 氏
経営企画室 室長柳屋 司 氏
経営企画室 調査役大前 俊昭 氏
営業本部 東日本ブロック長松永 寿実年 氏
マーケティング開発部 マネージャー横山 京子 氏
総務人事グループ マネージャー井熊 英俊 氏
業務グループ マネージャー丸 茂 氏
情報企画グループ マネージャー成山 博 氏
会社情報
称号: エレクター株式会社
本社所在地: 東京都目黒区上目黒2-1-1
設立: 1966年8月
資本金: 8,800万円
従業員数: 147人
代表者: 代表取締役 柳屋 隆
事業内容: ワイヤーシェルフ棚製造・販売
URL: http://www.erecta.co.jp/

(2013年1月末日現在)

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