事例紹介: 音羽印刷株式会社

音羽印刷株式会社 代表取締役社長 土屋 勝則氏

社員の安全を最優先して、
印刷事業を守り続ける

音羽印刷株式会社 ロゴ

代表取締役社長 土屋 勝則氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

当社は、昭和2年に創業し、DTP、印刷、製本、配送と、川上から川下まですべてをカバーする総合印刷会社です。名刺やはがきなど小物の少量印刷から、保険会社様向けパンフレット、ポスター、約款などの大量印刷まで、多様な印刷物を取り扱っております。特殊加工印刷、短納期、配送方法のご指定など、お客様各々のご要望にきめ細かくお応えできることが当社の強みです。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災では、印刷設備にダメージを受け使用できなくなり、紙やインキなど原材料の調達にも苦労しました。また、社員の安否確認に時間を取られ、その後も一部の社員がご家族のケアのために出社できなかったことで復旧作業にも遅れが生じ、納期調整が発生しました。この時の経験から、有事の際にはどう対処すべきかを日頃から考えておく必要性を強く感じておりました。

創業以来得てきたお客様の信頼を失わないためにも、BCPに取り組むことは経営者の責任だと考え、今回この事業に参加しました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

印刷事業を対象にBCPを策定しました。

受注生産主体で事業を行っていますので、平時であればすべての製品の納期を守ることは絶対条件です。しかし、検討の結果、災害時は改めて顧客に印刷物の緊急度を確認し、その時に受注している印刷物の優先順位と完成した商品の損失分を合わせた生産計画の見直しが発生するとわかりました。そのため、顧客、印刷設備の修理依頼、仕入れ先など緊急連絡先の整備や各所に連絡する手段として使用する固定電話、携帯電話、メールなどのために自家発電装置の購入を検討しました。

本社と東京工場は建屋がとても古くいことから全壊、千葉工場も半壊することを想定しました。その結果、重要業務である版下データ作成、印刷工程に関しては、再確認した納品日が守れないと判明した時のために、版下データのバックアップのクラウド化や災害時協定を結ぶ企業を選定することを考えました。

そして、これらの業務は社員が無事であり緊急対応ができることが前提となってきます。そのためにも設備・家具等の転倒防止、二次災害の防止、被災時の行動基準作成、家族を含めた安否確認の方法決定など、基本的な安全対策を徹底していきました。

対象事業印刷事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 本社・東京工場建物倒壊、東京営業所の設備一部破損、千葉工場本館半壊
・ 刷版、印刷、製本機の半数が故障、サーバ全機故障
・ 版下作成用PCの70%が落下により損壊
予防・低減策・ 建物の耐震補強、リフォームの実施
・ 落下・転倒防止策の実施
・ 備蓄・防災用品準備、自家発電設備の設置
代替策・ 生産計画を見直し、優先すべき印刷物を選定
・ 生産不能となった加工プロセスを外注へ委託
・ 本社機能を営業事業部へ移転
・ クラウド上の版下データの利用

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

普段見慣れているオフィスや工場の中も、改めて現場点検を行うと、棚の転倒やインクの落下等、リスクのある個所がたくさんあることに気が付きました。

社員全員分のヘルメットを購入するなど、投資により安全を確保することはできます。しかし現状を見直すだけでも、より安全な作業環境を作ることはでき、それが作業導線を意識し、効率のアップにつながるような配置に整備し直すことができたことは大変良かったです。また、プロジェクトメンバーを中心に、安全に対する意識が養われたことは大きな成果と言えます。

-BCPを策定した感想をお願いします。

今回は限られた時間内でプロジェクトメンバーのみでの活動でしたが、今後は社員にBCPの理解を深めるための演習を行っていく予定です。その新しい課題の解決や、今回つくったBCPの運用・改善も含めて今後継続して取り組んでいきたいと考えています。

今回のプロジェクトメンバーは各部署の役職者が集まったため年齢的に高い層が中心となりましたが、今後は若手のメンバーも加えて、若返りを図りながら、より有効性の高い当社独自のBCPを完成させていきたいと思います。

音羽印刷株式会社 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長土屋 勝則 氏
営業事業部 取締役営業事業部長月村 茂 氏
総務部岡田 聡 氏
千葉工場 取締役工場長荘 佳郎 氏
千葉工場 管理校正課 課長高橋 正明 氏
会社情報
称号: 音羽印刷株式会社
本社所在地: 東京都文京区本郷1-30-8
設立: 1983年10月(創業1927年9月)
資本金: 3,200万円
従業員数: 77人
代表者: 代表取締役社長 土屋 勝則
事業内容: 総合印刷業
URL: http://www.otowa-printing.com

(2012年12月末日現在)

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