事例紹介: 泰興物産株式会社

泰興物産株式会社 代表取締役社長 丸田 陽氏

災害からお客様の金型を守り、
生産供給を絶やさない

代表取締役社長 丸田 陽氏

想定リスク: 立川断層帯地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

創業は1975年で、化粧品の容器を製造していたメーカーからプラスチック部品を製造する会社として独立しました。現在では、化粧品メーカー向けのプラスチック部品や、電子部品メーカー向けの磁気研磨テープの巻き芯など、幅広い業界に製品を供給しています。また、独自製品として、高品質な化粧ブラシを大手化粧品メーカーへOEM販売しています。小規模な会社ですが、お客様の多様な要求にお応えできる部品の設計・開発技術を保持しております。成形機を10台備え、少人数で多品種を大量生産できるのが強みであり、短納期で低コストの生産が可能です。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災では、結果的には実害はなかったのですが、計画停電の実施区域内だったら間違いなく生産にダメージを受けていました。また、原材料についても、震災前に在庫を確保してはいたのですが、4月に入ると仕入が困難になりました。

お客様からもしばしば災害時の対応について質問されることがあり、金型があればどこでも生産できるから大丈夫と答えてきましたが、実際に災害が起こった時に、自社としてどこまで復旧し、自社の経営資源が使えない場合に何をもって代替すればいいかを決めていたわけではないため、サプライヤーとしてきちんと責任を果たすためにはBCPが必要だと感じておりました。BCPがあれば、確信を持って、お客様へ説明することができます。最終的には、以前、本事業へ参加された同業他社様からのご紹介もあり、参加を決断しました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当社の事業は、大きくプラスチック部品加工販売と化粧筆のOEM販売に分かれますが、災害時に緊急性を要するのはプラスチック部品加工販売と判断しました。東日本大震災直後、プラスチック製品の供給が困難になるという憶測が流れ、4、5月は需要が増した実績もありますので、災害時にいち早く事業を再開し、量産を開始することが会社存続の鍵であると考えました。

重要資源については、加工用金型の落下破損、射出成形装置の90%に破損や位置ずれが発生、成形装置の冷却用循環設備の配管破損、ポンプの損壊、原材料の調達困難、製品検査に必要な計量秤の破損や精度不良発生を想定しました。これらの資源は、どれが欠けても生産が困難になるため、被災するものとして対策を検討しました。予防策、事前対策として、重要な金型に対しては保全対策、成形機はコントローラや周辺機器の固定、ポンプについては予備を準備し、原材料の調達は在庫管理の見直しや代替仕入先の手配を検討することにしました。

発災時は速やかに製品在庫を確認し、注文に備えるとともに、工場内の片づけや各配管の修復工事、成形装置の修理や検査装置の校正を自社内で行い、早期に生産を再開することを目標とします。復旧に時間を要する場合は、災害時協定締結会社へ金型を持ち込み、外注生産を行うこととしました。

対象事業プラスチック部品製造販売
対象リスク立川断層帯地震
被災シナリオ・ 製造設備の破損
・ 金型の落下破損
・ 原材料調達困難
予防・低減策・ 整理整頓、機器固定化などの耐震対応
・ 原材料の在庫管理見直し
・ 金型保管形態の見直しにより保全強化
代替策・ 予備機の利用
・ 災害時協定会社へ金型を提供し、生産を依頼
・ 代替仕入先への発注

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

プロジェクトメンバー間の日程調整に苦労しましたが、BCPを完成できて大変良かったと思っています。自分だけしかできないと思っていた属人的な業務も、やるべきことを明確にすることにより、誰でも対応できるようになるということに気付かされました。また、会社としての対応はどうあるべきかを考えることにより、会社を復旧させる時に、私がいなくても大丈夫だと思えるようになってきました。平時より、建物内の片づけはきちんと行ってきたつもりですが、地震に対する備えという観点からみると、まだまだ5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)が徹底されていないと反省しました。策定を通じて、5Sの意識は非常に高まりました。

-BCPを策定した感想をお願いします。

当初は「災害は起こってみなければわからない。起こってから考えればいい」と、事前に準備することに対して懐疑的でした。しかし、BCPを策定していく中で、発災後に何から行うべきか優先順位が明確になり、そのための備えはどうすれば良いのかを理解しました。東日本大震災の際、復旧が遅れたために、他企業に転注されてしまった部品メーカーがあると聞きました。東京が被災した場合は、当社も同様に転注されてしまう恐れがあります。BCPをいいタイミングで完成できたことに満足しております。

泰興物産株式会社 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長丸田 陽 氏
開発部 取締役丸田 智子 氏
製造部田中 正男 氏
会社情報
称号: 泰興物産株式会社
本社所在地: 東京都立川市錦町6-18-1
設立: 1975年5月
資本金: 1,000万円
従業員数: 10人
代表者: 代表取締役社長 丸田 陽
事業内容:プラスチック製品の製造・販売
URL: http://www.seikei-ya.com

(2012年12月末日現在)

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