事例紹介: 丸和繊維工業株式会社

丸和繊維工業株式会社 代表取締役社長 深澤 隆夫氏

自家工場の操業を守り、
ニット製品の供給責任を果たす

丸和繊維工業株式会社 ロゴ

代表取締役社長 深澤 隆夫氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

当社は創業者である現会長が、1956年にメリヤス肌着の製造業を始め、その後アウターウェア製造へ転換し現在に至ります。主として、百貨店向けアパレル企業やスポーツメーカーへのOEM生産を中心に事業を行っております。高品質、高感度のもの作りをベースに、機能性商品の開発など様々な取組も行っており、2010年には当社が製造したポロシャツが、藍染めによる抗菌効果と、人体の動きに合わせても着崩れない動体裁断技術が評価され、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募したスペースシャトルの船内被服に選定されました。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

最大のきっかけは東日本大震災ですが、日頃から体系的なリスク管理の必要性を感じていました。他社の話ですが、最優先事項を社員の安全確保とし、日頃からリスク管理をしていたため、東日本大震災の際、業務を即座に中断し避難したことから、ぎりぎりのところで津波から避難し全員が助かったと聞いております。当社も社員の安全確保及び事業継続の施策を立てておくことが重要だと思いました。そんな時、東京都BCP策定支援事業を知り、専門的なアドバイスを受けながら対策を立てたいと考えました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

主要事業であるOEM生産が長期間停止すると、自社だけでなく取引先の売上にも大きな影響を与えてしまうと判断し、BCPの対象事業としてOEM事業を選びました。

この事業において、都内本社の機能は営業、企画設計、生産指示、生地・資材調達等で、本社工場ではサンプル等の製造を行っています。地方にある子会社の自家工場では本社の指示、調達により生産を行っています。発災後、本社において、負傷者や帰社困難の発生による人員の不足、情報システムの停止、電気や電話網の利用不可が発生し、自家工場への生産・出荷指示や原材料の調達ができず、生産がストップしてしまう事態を想定しました。

これに対し、社員の安全確保と同時に、取引先への供給責任を第一に考え、方針として受注済み製品の生産及び出荷に絞り、生産計画を見直し、企画設計、材料、資材の調達を重要業務として立ち上げることにしました。

生産計画見直しでは、サンプル製造を中心としている本社工場を停止して社員を応援に回し、迅速に取引先、工場、仕入れ先の被災状況を確認し、優先度に応じて生産計画を見直します。企画設計には、必要なCADシステムをクラウド化し、自家工場で業務代行ができる環境の整備を行います。また、原料、資材の調達に関しては、自家工場から直接発注できるように、自家工場と仕入れ先の情報共有化を図ります。

対象事業OEM事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 社内は乱雑化し、7名負傷、8名帰社困難者が発生
・ 社内のサーバは全損
・ CADシステムが利用不可
予防・低減策・ 棚・キャビネットの転倒防止
・ ミシンの連結・固定
・ サーバの固定・免震・クラウド化
代替策・ 本社工場要員による他部署応援
・ 裁断パターン設計業務の自家工場での業務代行
・ 自家工場から生地・副資材の直接発注

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

こうすれば大丈夫だろう、ああすれば安全が守れるだろうといった素人判断が根底から覆され、専門家の見る目との違いを実感しました。例えばガラスの飛散、エレベーターー、地下室、屋上での閉じ込め者、備蓄品の不足等、事前の対策では不十分であったと気付かされました。

また今回のBCP策定で、業務フローが改めて系統立てて分析され、様々なリスクやボトルネックが見える化できたことに感謝しています。

一方、策定過程においては、メンバー全員が活発に討議できるよう、私個人の意見をなるべく抑える努力をしたつもりです。今まで少なかった、一つのテーマについて、各部署横断で議論する機会ができ、他部門の業務を理解し、社内のコミュニケーションが一層活発になる効果もあったと感じています。

-BCPを策定した感想をお願いします。

短期間で良くここまでまとめられたというのが率直な感想です。まだ課題も少し残っていますし、策定したBCPが実際に機能しないと何の意味もないので、プロジェクトメンバー以外への啓蒙や定期的な訓練も重ねていく必要があります。継続は力なりというように、のど元過ぎて熱さを忘れないよう、トップ自らが改めて気を引き締めて、みんなを引っ張っていきたいと思います。

社員の安全確保や事業の継続については、まだまだ完全になったわけではありませんが、やはり、社員が高い意識を持って活動し、常に活発に社内でコミュニケーションをとれる環境づくりを進めていくことが必要だと思います。

丸和繊維工業株式会社 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役社長深澤 隆夫 氏
総務部経理部 部長三島 博士 氏
営業部 次長青芳 隆雄 氏
生産管理部 係長土田 信幸 氏
商品企画室桜谷 幸子 氏
本社工場大衡 潤也 氏
経理部金子 佳世 氏
会社情報
称号: 丸和繊維工業株式会社
本社所在地: 東京都墨田区亀沢1-8-6
設立: 1958年2月
資本金: 4,500万円
従業員数: 51人
代表者: 代表取締役社長 深澤 隆夫
事業内容: ニット・スポーツ カジュアルウェア、婦人服の製造販売
URL: http://www.maruwa-tex-ind.co.jp

(2012年12月末日現在)

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