事例紹介: 有限会社石神井メディアセンター

有限会社石神井メディアセンター 代表取締役 渡邉 彰氏

社員を守り、地域への情報提供で
社会貢献する

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代表取締役 渡邉 彰氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 情報通信業

-事業内容を教えてください。

朝日新聞をはじめ日本経済新聞、東京新聞など新聞の戸別宅配が主な事業で、水や書籍の宅配も行っています。練馬エリアで約5000件の契約を受けており、その8~9割が一般世帯のお客様、その他が事業所や商店になります。地域密着型のビジネスであることから、単に新聞をお届けするだけでなく、「動くコンビニ」とも言える地域の役割を担っていると自負しています。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災では、紙媒体としての新聞の価値が見直された一面があり、混乱の中でも情報をしっかりお客様に届けるという我々のミッションを改めて認識しました。電力や通信などのインフラが復旧していない災害時こそ、地域のお客様への新聞宅配を確実に行い、情報を届けることが重要との思いを強くしました。

これまでも、災害対策の必要性は頭にはありましたが着手できておらず、今回、当社が所属する朝日新聞販売組合から当支援事業を紹介して頂いたのを機にBCPに取り組むことにしました。BCPを策定し、さらに当社のBCPの取組について情報発信することでお客様からの信頼感アップにつなげたいと思います。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当社の主事業である新聞販売事業を対象とし、災害時でもお客様に情報を届けるための新聞宅配を重要業務としました。地震で社員の3割が被災、バイク使用不可という想定に対しての対策を検討しました。

通常は1日2回、早朝2時半と夕方15時に新聞が店舗に到着し、ちらし組込み作業等の準備を行います。その後、各区域担当の配達要員が新聞をバイクに積んで配達に出発し、早朝の場合は5時半過ぎ、夕方は17時過ぎに宅配が完了します。通常業務では時間内に作業を終えるためにちらしの折込機や配達用バイクは欠かせませんが、有事の際にはちらしの組込みを中止すれば、バイクが使用できない場合でも徒歩での宅配が可能なので、最低限必要な経営資源を絞り込んだところ、配達要員と配達順路情報(順路帳)、夜間作業時の照明があれば何とか宅配が行えることが明確になりました。

幸い当社は自宅が近い社員が多く、交通網麻痺による帰宅・出社困難は考えにくいですが、必要な人員を確保するためには怪我を未然に防ぐための棚の固定や転倒防止策などのオフィスの地震対策に加え、社員自宅の地震対策を促進することが必要だということがわかりました。また、配達順路を示した順路帳が破損し、少ない人数の配達要員で配達体制を見直す場合に備えて、順路帳の元となる全戸台帳を紙データでバックアップすることを決めました。また夜間作業時の照明や携帯の充電など、最低限の電力を確保するために自家発電機の購入を決めました。

対象事業新聞販売事業
対象リスク東京湾北部地震
被災シナリオ・ 配達担当社員の3割が勤務困難
・ 配達順路帳が破損
・ 配達用バイクが転倒しガソリン漏れ、故障
予防・低減策・ 社員自宅の地震対策促進(具体策の啓蒙)
・ 事務所の棚等の固定・転倒防止対策、事務所照明のLEDへの交換(落下時の飛散防止)
代替策・ 配達可能人員による配達体制見直し
・ 全戸台帳を基に順路帳再作成
・ バイク使用不可の場合には背負子等を利用した徒歩での配達
・ 自家発電機による照明と充電

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

新聞宅配業務には夜中のシフトもありますので、通常業務の時間を調整し今回のプロジェクトの時間を確保することが大変でした。また、ステップがほぼ2週おきのペースで進むため、なかなか合間に社内で十分な検討時間が取れませんでした。

限られた時間で事務局は多くの作業を良くこなしてくれたと思います。今回のプロジェクト・メンバーとは日々の業務でも密にコミュニケーションを取っていますが、皆、積極的に発言し意見交換してくれたので、新たな一面を見ることができました。私も含めてですが、策定を通してメンバーの仕事への使命感が強くなったのではないかと思います。

また、このプロジェクト期間中に発災直後の迅速な対応がいかに大切かを痛感しました。偶然、災害対策本部メンバーの一人がちょうど転居先を探していたため、対策本部設置予定の店舗から徒歩20歩の場所に、本人の了解を得て転居してもらうこととなりました。

-BCPを策定した感想をお願いします。

BCPを策定することで社員が安心して働ける職場環境づくりができたことは経営者としての自信につながりました。何が起きても落ち着いて動ける心構えができましたし、この仕事に対するプライドを改めて感じる、いい機会になりました。今後、まず社員に向けてBCP策定の主旨説明を行い、その後安否確認訓練から実施していきます。

年間運用計画に基づきPDCAのサイクルをしっかりと回し繰り返すことで、徐々に社内に浸透させていきたいと思います。また、組合で当社が先駆けての取組となったので、今後、組合内での普及にも協力していきたいです。

会社情報
称号: 有限会社石神井メディアセンター
本社所在地: 東京都練馬区下石神井3-13-13
設立: 1999年2月
資本金: 300万円
従業員数: 30人
代表者: 代表取締役 渡邉 彰
事業内容: 新聞 及び出版物の販売。水、書籍等の物品販売

(2012年12月末日現在)

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